被災者への支援で気をつけないといけないことは、妙な先入観を持たないことです。
発災直後は茫然自失となります。少し時間が経過すると、人はいろいろな事情や不安から、過剰な興奮状態になるそうです。悲しみや怒り、生き残った義務感などから一睡もしていなくても覚醒していられます。この時期を過ぎると、精神的なストレス障害の症状がでてきて、抑うつ状態になる人も出てきます。
被災者に対する心のケアの重要性は言うまでもありません。しかし、実際におこなうとなれば、一様にこうすればいいというわけではありません。マスコミなどでは、結構いいかげんなコメントがされていますが、実に難しいことです。
あるコメンテーターが、「とにかく、寄り添うことです。ただ、話を聞いてあげるだけでも心が落ち着くのです。」と言っていました。
しかし、誰もが自分の苦しみを誰かに話したいと思っているわけでもなく、静かにして欲しいと願う人も多いです。
被災者が皆一様に不幸であり、何かのトラウマに苛まれているわけではありません。
また、被災者を弱者であると見なして、恩着せがましく接してはいけないようです。むしろ他の人の役に立ちたいと、強く願っている被災者の方が多いのです。
また、心のケアを行う人の心のケアも大事なんだそうです。子供さんの心のケアを担当した教員のほうに、心を病む人が多かったというのはよく聞きます。寄りそうことで、相手の心の痛みを過度に共有してしまうのです。
人と人との関係をイーブンに保つのは、非常に難しいことです。カウンセリングの専門家であっても、災害時の心のケアをうまく行うことは容易ではないでしょう。
いい意味で、起こったことは仕方がないと割り切って対処することが、被災者にも支援者にも最善なのだろうと思います。