能登半島地震から1週間を経過しても安否不明の方が増えています。
事業継続力強化計画(ジギョケイ)の策定支援を、この制度がはじまるときからやっています。この計画は、中小企業や小規模事業者が不測の事態(主に自然災害)に遭遇した場合に、事業を継続する能力を強化するためのものです。事業者の立地によって、水害・土砂災害、地震・津波などの自然災害を想定して、対応する計画をつくります。
ジギョケイでは、自然災害が発生した場合の対応手順として「従業員の避難方法」「従業員の安否確認方法」の2つが必須記載項目になっています。
ここで「従業員」となっていますが、中小企業や小規模事業者の場合は、自分自身、自分の家族、従業員の家族に範囲を広げて方法を検討するのが一般的であり、推奨しています。
事業者さんによっては、避難方法や安否確認方法は本当に必要なのか?と懐疑的に考える方が結構おられます。
ただ、「今、大きな地震が起きたら、どこに避難するか」と質問して、答えられる方は結構少ないです。また、発災が勤務時間中という確率は1/4以下ですし、就寝中という確率も1/3程度あります。事業継続には、人材は不可欠な経営資源ですから、自然災害に対して避難方法を決めておくのは大事です。
従業員や家族の安否は、携帯電話やLINEなんかで連絡すればすぐわかると言われる方もおられます。しかし、今回の能登半島地震でもわかるように、実際は容易ではありません。
能登半島が特別な地域ということもなく、5年前の千葉の台風災害でも安否確認には手間取りました。私の経験でも、金曜午後に発災した東日本震災で、最後の従業員家族の安否確認ができたのは翌水曜日の朝でした。
災害時には、思ってもいなかったいろいろな事情が発生します。人は日常と異なる動きをして、同じ場所にじっとしていません。交通も通信環境も制限されます。事業者側からも、従業員側からも、よほどの努力をしないと安否確認できません。事前の準備は大事です。
今回のような長期連休中の安否確認をどうするのかは、難しい課題ですが、検討してみることは事業継続力の強化に役立ちそうです。