趣旨としては、コロナ融資で市場に膨れ上がったキャッシュを回収しようとしています。金利の上昇につながると予想されるので、多額の借入金があるような事業者は準備を怠らないようにしましょう。といったところです。ところが、マネタリーベースの2023年12月平均残高は665兆4863億円となり、1年間で7.8%も増加しました。
マネタリーベースというのは、世の中にあるお金の総量のことです。昨年の12月には、665兆円のお金が世の中に存在したということです。何兆円というと、大きな数字ですが、仮に日本人を1億人とすれば、一人当たり665万円となります。
日銀がマネタリーベースを増やす、つまり金融緩和をすることで、世の中を流通するお金の量(マネーストックといいます)が増えていきます。
モノやサービスの価値は、流通するお金の価値と均衡するはずなので、マネタリーベースを増やせば、物価が上がるはずです。
逆にマネタリーベースを減らせば、物価は上がるはずなので、日銀は物価を自在にコントロールできるというのが理屈です。但し、このコントロールには時間的な遅れが発生します。
マネタリーベースを増やして物価が上がり始めるまでに時間がかかり、逆に物価が上がっりはじめたからマニタリーベースを絞ってもすぐには止まりません。タイミングを失敗すると、物価が上がり続けるインフレーションを招きます。
昨年の段階では、物価が上昇していく傾向、インフレを懸念してマニタリーベースの減少を試みたのですが、インフレ懸念どころかデフレからの脱出も完璧ではありません。そこで、再び金融緩和をしてお金の量を増やしたわけです。
中小企業にとっては、 借入金利が下がったままの状態がしばらく続くので、大いに助かります。円安にもなりますので、特に輸出の多い大企業の下請けをしている会社の多い山口県の中小企業にはさらにプラスです。
しかし、このまま際限なく金融緩和が続くとも思えません。物価上昇の様相がはっきりしたら、どこかで引き締めに向かうはずです。
そろそろ。しっかりした心構えをしておくことが大事です。