少し前に「蛙化現象」という言葉が流行しました。
ネット辞書によると、(主に女性が)恋愛感情や好意を抱いている相手(主に男性)のささいな言動が気になり、気持ちが急速に冷めてしまうことを蛙化現象と言います。「・・化」とついているので、これまでカッコよいと思っていた男子が、突然にダサい蛙に突然に変わって見えるということです。まぁ、蛙にとっては迷惑な話です。
蛙化現象という言葉は2004年に臨床心理学者の藤澤伸介氏がつくった言葉だそうです。但し、その意味は今使われているものとは違って、「好意を持つ相手が自分に対して好意を持っていると分かると、それがきっかけとなってその相手に嫌悪感を抱いてしまう現象のこと」でした。
藤澤氏が蛙化現象という言葉を創造したわけですが、その原点はグリム童話「かえるの王子さま」だそうです。
かえるの王子さまというお話を振り返ってみると、とても興味深いです。
あらすじ:
昔々ある所に、美しい王女がいました。王女は、ある日の事、遊んでいた金色の鞠を池に落としてしまいました。一匹の蛙が現れ「私が毬を取ってきますから、代わりに私を友達にして、一緒に寝てください」と言いました。
王女は蛙の申し出を受けて、約束を交わしました。蛙は苦労して池の中から鞠を見つけ出して王女に渡しました。
その晩、蛙がやってきて王女様に「私は友達だから一緒に食事をさせてください」と言います。王女様は驚いて拒みましたが、お父様(王様)は「お前が約束したのだから守りなさい」と言い、蛙は一緒に食事を楽しみました。
そのうえ、蛙は王女様に「一緒にベッドで寝ましょう」と寝室についてきます。お父様はやはり「お前が約束したのだから守りなさい」と言います。
王女様はどうしても嫌だったので、蛙を掴むと壁に投げつけました。すると、ペシャンコになった蛙は、隣国の王子様の姿に戻りました。
毎度のことですが、グリム童話は怖い怖いですね。グリム童話は200年ほど前にドイツで書かれたわけですが、蛙化現象などと呑気なことを言ってる場合ではないですね。