大谷翔平選手がフリーエージェントとなって、巨額な報酬で他チームに移籍しそうです。
ニュースで大いに盛り上がっていますが、所得格差の拡大だと批判する人はいません。メジャーリーグにしても、日本のプロ野球にしても所得や処遇の格差は大きいです。しかし、大谷選手1人の報酬が、日本のプロ野球球団2つ分(約140人の選手)の総年棒に匹敵して、2軍選手の最低保証年俸(440万円)の1700人分ということです。アメリカ恐るべしです。
大谷選手の報酬ですが、あまりに巨額なので、実際には毎年支払う年俸ではなくて30年から50年の分割払いになるそうです。例えば、10年で5億ドルの契約がまとまれば、毎年1250万ドル(約19億円)を40年間に渡って支払うとかです。
この背景には、メジャーリーグの経営規模自体が大きいことがあります。30球団を合計した年間収益は100億ドル(1.5兆円)を超えます。1球団の平均で3.5億ドル(525億円)ですから、大谷選手に19億円払うことが余裕でできます。
大谷選手は、ポストシーズンに進出できる球団に行くべきだという話をよく聞きます。これも、ポストシーズンに進出してワールドチャンピオンになると、1億ドル(150億円)を超える追加収入が球団に入ることが背景にあります。この追加収入が、選手の処遇に跳ね返るわけです。
会社がたくさんの利益をあげて、社員の賃金を上げることが求められています。このとき、とても大きな利益をあげている会社ならば、ハイパフォーマンス社員の賃金を大幅に上げて、さらなる収益向上を図るかも知れません。この利益額が大きければ、格差拡大の批判はおこらないということです。
話が変わって、将棋で21歳の藤井聡太さんが八冠を独占して、大いに話題です。
この将棋という業界には、現在170人余りのプロ棋士がいるのですが、全員が男性です。女流棋士も60人ほどいますが、別枠です。これをもって男女格差があると批判する論客も出てきません。囲碁には女性枠があるので、将棋にも女性枠をつくるべきだと、意見をいう人がいてもよさそうです。
これは、将棋のプロ養成機関には男女の別が無く、機会の公平があることが要因です。また、将棋の場合では、出場者がトーナメントプロに限定される名人位につながる順位戦を除けば、タイトル棋戦であっても女性やアマチュアにも出場の機会があります。この機会の均等が重要なことだと思います。
業種や業界を問わず、一律に「役員に占める女性比率3割以上」をルール化するのは、いかがなものかと思います。