非公開の中小企業が粉飾決算をしても、それだけではたいした罪にはなりません。
粉飾決算はほんとうは赤字なのに、黒字で利益が出ていると偽ることです。払わなくてもよい税金を国に納めることになるので、丸損です。しかし、粉飾決算をしたことで金融機関から借入をしたような場合は、相手を騙しているので詐欺となって犯罪です。もちろん、金融機関以外の第三者を騙して、金を出させるのも違法です。社内の関係者がお金を懐に入れるための粉飾であれば、背任になります。まぁ、どうしても納税したいという動機で粉飾決算する人もいないので、たいていは犯罪行為につながります。
但し、金融機関を粉飾決算で騙すのは、中小企業ではなかなか困難です。
大企業であれば、多くの関連会社とか取引先を巻き込んで、バレないような細工もできるかも知れません。しかし、そんな強力なコネクションは、普通の中小企業や関わる人にはありません。
また。粉飾決算を成立させるには、監査法人とか会計事務所とか税理士さんとかに協力をしてもらわないといけませんが、この見返りを用意できる会社や人は少ないでしょう。もっとも、そんなお金があるなら粉飾しないほうがましです。
さて、粉飾決算の疑いを発見する方法ですが、中小企業診断士が受託する経営診断など簡易な調査では次の2点に注目します。いずれかに該当すればしっかり調べます。
1.売上高に対する売上債権の比率が高い。あるいは高くなっている。
同様に、売上高に対する棚卸資産の比率が高い。あるいは高くなっている。
場合によっては(売上債権+棚卸資産)の比が高い。あるいは高くなっている。
2. フリーキャッシュフローが大きくマイナスで、財務キャッシュフローで補っている。
この状況が2期、3期と続いている。
売上高に対する現預金の比率が低い、あるいは低くなっている。
3点目以降は企業秘密?かな。