8月の有効求人倍率は1.29倍、新規求人倍率は2.33倍です。有効求人倍率はバブル期を少し下回りますが、新規倍率はバブル期を超えて過去最高水準です。
岸田総理が「経済・経済・経済」と連呼したのに対して、野党の党首が「賃金・賃金・賃金」と応酬しましたが、本来は政治の目的は「雇用・雇用・雇用」のはずです。欧米諸国と比較しても最も高い求人倍率、最も低い失業率です。つまり、ほぼ完全雇用を実現している世界唯一の国が日本、という現実があります。
4半期毎に中小機構が中小企業・小規模事業者の景況を調査して発表しています。
2023年第Ⅲ期(2023年7~9月)の業況DIは前期(4~6月)よりは若干下がりましたが、それでも過去30年間で最も高い水準にあります。日本の中小企業・小規模事業者の景気は、平均的にはよいのです。
特に業況がよいのは、宿泊業や飲食業(外食)、情報通信などですが、実は食料品産業も過去最高水準になっています。食品の値上げが家計に負担になっているという報道です。しかし、逆に見れば、食品加工する事業場や販売するお店にとっては、これまでの低価格しばりが解けて、合理的な利益を確保できる道がようやく開けたわけです。
景気がよくなれば人手が必要になります。中小企業の人手不足感は、全産業を通じて過去30年間で最高の水準にあります。
2020年第2四半期にコロナ感染症による経済封鎖の強制によって、一時期的に大幅な従業員余剰が発生した反動もあります。従業員をやむなく整理した事業者も多いわけで、従前の雇用を再開するのは困難が伴います。
人手不足を解消するためには、働く人を経営資源として管理する対象と考えてはいけないようです。働く人は重要な経営資本であり、会社が価値を創造する礎であると考えます。人材ではなく人財です。
人材活用は経営そのものであり、人事労務担当者に任せるのではなく経営者が自律的に考え、行動することが必要です。
中小企業庁が「人材活用ガイドライン」を提示していますので、参考にしてください。