中国リスクというものの、他の国も危ないから・・

中国への過度な依存から脱却しないと危険だという指摘は尤もなこととは思いますが・・。

 

日本の場合、中国依存の割合が高いのは大企業ではなく、中小・中堅企業です。このため、中国との関りを一旦持ってしまったら、脱却することは難しいのです。素朴にいって、中国でのビジネスは儲けが大きいです。持続可能性に懸念が高まっていることはわかりますが。代替になる国の候補であるベトナムやタイ、台湾などにも異なったリスクがあります。

 

習近平と李克強
習近平と李克強

日本の2022年の対中貿易です。 

輸出(日本→中国)が1,848億USD、輸入(中国→日本)が1.887億USDで、わずかに入超、日本の貿易赤字です。とはいえ、日本と中国の貿易は、概ね均衡しています。

中国から日本への輸出品は、1位が電気機器、2位が機械類、3位が衣類。日本から中国への輸出品は、1位が電気機器、2位が機械類、3位が自動車です。

 

アメリカと中国の貿易では、アメリカ→中国は1,777億USDに対して、中国→アメリカは5,816億USDと3倍以上の開きがあります。

中国からアメリカへの輸出品は、1位がスマホ、2位がノートPC、3位が玩具、4位が自動車部品、5位が照明器具と工業製品が並びます。

アメリカから中国へは、1位が大豆、2位がIC、3位が自動車。4位がLNG、5位が原油となっています。中国からアメリカへが先端工業製品で、アメリカから中国へが農産物や天然資源というのは、ちょっとイメージが違いますね。

 

各国の対中投資をみてみますと、日本から中国への投資額は2022年に1.2兆円でした。アメリカの中国投資は92億USD(1.3兆円)、ドイツは115億EUR(1.8兆円)です。但し、これは実態を正しく反映していないようです。

 

中国側の資料では、各国の対中投資の総額は1891億USD(28.4兆円)になります。

日本からの投資額は46億USD(0.72兆円)、アメリカは22億USD(0.33兆円)、ドイツは26億USD(0.39兆円)です。金額が合わないのは、香港からの投資額が1372億USDと全投資額の3/4近くを占めるなど、シンガポール、英領バージン諸島、ケイマン諸島などのタックスヘイブンが利用されているからです。

 

要するに、各国の企業がどのくらい中国に投資しているかをはっきり掴むことは困難です。

欧米諸国、中東諸国や韓国などは中国での巨大プロジェクトを進めています。EV生産にテスラが1兆円・BMWが3000億円。エチレン生産にBASFが1.6兆円・エクソンモービルが1.5兆円・サウジのSABICが8000億円。サムスンは半導体に1.2兆円などです。

 

一方で、日本からの投資はそれぞれは小さい規模になっています。スシローやニトリが多店舗展開している様子が報道されますが、規模は大きくはありません。2000年頃までに対中国投資で痛い目にあってきた日本の大企業は、対中投資には慎重な姿勢を崩していないようです。