SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」のターゲット3.6「道路交通事故による死傷者を減少」というのがあります。
ターゲット3.6のゴールは「2020 年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。」です。世界中で道路交通事故の死者は年間およそ130万人です。世界で1年間に亡くなるのは約5600万人ですから、2.3%に当たります。ちなみに、死因の1位は心筋梗塞などの虚血性心疾患で約900万人です。
日本の交通事故死者数は年々減ってきています。 私たちが子供だった1970年頃には交通事故死亡者数が年間1万6千人超と、まさに交通戦争でした。1996年に年間1万人を下回った交通事故死者数は、昨年(2022年)は2610人とピーク時の1/6以下となりました。
交通インフラが整備され、自動車の性能が向上し、飲酒運転などの規制や罰則が強化されたことが要因ですが、社会全体の落ち着きといった要素もありそうです。1970~1980年代は、みんながせかせかして、いつも何かに追いまくられていた印象です。「24時間働けますか?」と煽られて、深夜や早朝に事故を起こしたケースも多かったと思います。
日本の人口10万人当たり交通事故死者数は2.7人で世界で最も低いレベルにあります。G7ではアメリカが11.0人と断トツに多く、カナダ4.6人、イタリア4.0人、フランス3.9人、ドイツ3.3人です。イギリスが日本より少なくて2.3人です。
但し、日本は高齢者が多く若者が少ない国なので、少し割り引いて考えないといけません。
さて、日本の交通事故死亡者には他の国にない大きな特徴があります。グラフに示したように、死亡者の35.2%が歩行者、16.8%が自転車乗用中です。合わせると52.0%、死亡者の半数以上になります。逆に、乗用車乗用中の死亡者は20.2%と圧倒的に少なくなっています。
日本の交通事故死亡者の57.7%が65歳以上の高齢者です。日本の65歳以上の高齢者比率は28.5%なので確率2倍です。G7の国で比較すると、ドイツが32.0%対21.8%で1.5倍ですが他の国は1.1~1.3倍です。
まとめると、歩行中あるいは自転車に乗っている高齢者の死亡事故の割合が高いということです。 しかも、歩行中死亡事故の70%は日没以降の夜間に発生しています。冬になって、暗くなる時刻が速くなりました。反射材やLEDライトを利用するだけでなく、明るい服装で出掛けることも大事です。