減税という名前のバラマキ政策の実態が徐々にわかってきました。中小企業や小規模事業者にとっては不信と不安と不満が募ります。
このいわゆる「減税」は、いったい誰がどういう意図で提案したのでしょうか?どう考えてみても、誰にとっても、良い方策のようには思えません。万一、総理自らが発案したとしても、周りに止める人というか、止められる人はいなかったのでしょうか? とても不安です。
「税収増を国民に還元する」という珍妙な話に納得できるはずはありません。ましてや、「物価高から国民を守る」「持続的な賃上げをする」「再びデフレにしない」など、論理的に整合していない話を並べられても困惑するばかりです。
しかも、政府支出は防衛費のみならず財政支出を増やす報告です。小泉~安倍政権は、一定の財政規律を維持する意欲を持っていましたが、岸田政権では箍が外れた印象です。
経済を民間と行政に分けると、付加価値を産むのは民間です。行政は民間の産んだ付加価値を消費します。
減税の本来の意味は民間から行政への付加価値の移動量を減らすことです。今回の岸田内閣の減税は、各家計への直接給付なので、本来の減税とは異なります。
本来の減税であれば、行政支出の削減と一体でなければつじつまが合いません。しかし、物価高や賃金や金利の上昇は行政支出も増やします。
大阪万博の工事費用が物価高で当初の見込みより1.9倍になるという報道です(まぁ、これは他の問題もありましょうが)。物価が上がれば消費税税収は増えますが、行政支出も当たり前に増えます。
賃金の上昇は民間だけではなく公務員をはじめとする行政職員でも当てはまりますから、人件費も増えていきます。
金利上昇で、債権の利払い費が増えます。何しろ1200兆円の借金を抱えているので、1%の金利上昇で12兆円も利息が増えます(バブル期には、国の借金170兆円で利息11兆円という年もありました)。
そのうえ、内外の安全保障環境は厳しさを増しており、防衛費やウクライナ支援などにも費用が必要です。社会保障関係費もまだ増加していきます。子供子育て支援にも多額の支出をする意向ですから、元々借金まみれの日本の行政はさらに借金が膨らみます。
ちょっと心配です。