複数年契約は球団にとって損にならないか?

 プロ野球のドラフト会議をやっています。プロ野球は各球団で登録できる人数が決まっている(支配下70人×12=840人)ので、基本的には入った人数分が辞めることになります。

 

今日のドラフト会議では支配下72人に育成50人が指名されました。育成から支配下登録されるのはおよそ1/3ですから、概ね90人が入る人数です。したがって、約90人がプロ野球から去るということになります。1割くらいが入れ替わるイメージですね。

 

カープ 菊池涼介
カープ 菊池涼介

会社の場合も部員が1割くらいづつ入れ替わるのが、ちょうどいい感じです。製造業と建設業の経験ですから、IT産業などでは違うでしょうが・・。 

 

ところで、ドラフト会議が終わると契約更改の時期になります。辞める1割に入らなかったとしても年棒ダウンは困りますから、しっかり交渉します。プロ野球の契約では、単年度の契約が普通ですが、最近は複数年契約を結ぶ選手もいます。

 

複数年契約を結ぶと、選手の側でモチベーションが下がってしまって、球団が期待するようなパフォーマンスが発揮できないのではないか?と思います。ちょっと調べてみました。

 

2023年に複数年契約を結んでいたのは74人。プロ野球選手の11人に1人です。意外に多いなぁと感じます。そのうち、今年で契約期間が満了するのが22人です。22人のなかで、契約期間3年以上の野手は10人です。この10人の複数年契約前と契約後の成績を比較してみました。

 

まず、パリーグの3選手です。

楽天の鈴木大地選手はほぼ期待通りの成績と言えるでしょうか。10選手の中で唯一、契約前後で打率が向上しています。

 

西武の栗山選手の成績は落ちていますが、年齢的には仕方がないでしようか。ロッテの福田選手は契約満了で戦力外となりました。

セリーグです。

ヤクルトの青木選手は41歳という年齢から仕方ないですが、成績を落としています。

DeNAのソト選手と伊藤選手は、それぞれ成績を落としました。球団はこの二人にはかなり期待していたでしょうから、ちょっとガッカりですね。

巨人の3選手です。

坂本選手と丸選手はさすがの成績です。数字上は多くの項目で成績を落としていますが、水準としては優れた位置を維持しています。

さらに両選手とも、本塁打数は契約前を超えているのが素晴らしいです。坂本選手はチーム内での役割が代わったのだと思います。丸選手はマツダと東京ドームのパークファクターの違いかも知れません。

小林捕手は長期契約期間はあまり働いていないことがわかりました。

最後にカープの菊池選手です。

出場機会が減ってきてはいますが、坂本選手・丸選手と同様に一定の水準をキープしています。

 

10選手を単純に合算すると、パフォーマンスは複数年契約前後で3割くらい落ちるようです。但し、モチベーションが課題ではなく、加齢による運動機能などの衰えが原因のような気もします。

 

一般企業でもいろいろと雇用契約のあり方がみられるようになりました。複数年契約で働く人もいるかもしれません。契約前後のパフォーマンス分析をしてみることも大事です。