CCS(カーボン貯留)への素朴な質問集

CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)、地中に埋めた二酸化炭素はどこに行くの?漏れたら危ないんじゃないの?埋めるのに大きなエネルギーがかかるのではないの?

 

カーボンニュートラルセミナーの講師をした後に質問されました。ざっとした回答は、地中に埋めた二酸化炭素はどこにも行かない。二酸化炭素は高濃度で漏れたら危ない。埋めるのには大きなエネルギーが必要。でも、おおよそは安心してください、です。

 

カーボンの貯留(CCS)
カーボンの貯留(CCS)

CCSで二酸化炭素を貯留するのは、上部に遮蔽できる密な地層がある、隙間のある疎な地層に限られます。地下1000~3000mにある地層です。

この地層に貯留された二酸化炭素は、1000年くらいはこのままどこにもいきません。長い年月によって鉱物化されていきます。尚、この炭素鉱物化を迅速におこなう技術も開発されてきています。

 

二酸化炭素は危険です。カメルーンの火口湖から高濃度の二酸化炭素が爆発的に流出して数十人が亡くなった事例もあります。日本では地下施設で消火設備の故障による二酸化炭素中毒の事例が複数あります。

但し、被害があるような二酸化炭素とは、気中濃度が10%以上且つ数分以上、あるいは濃度30%以上といったごく高濃度の場合です。人の呼気中の二酸化炭素濃度は安静時は1%ちょっとですが、重作業した場合には人によっては10%にもなります。ラグビー選手の吐く息を顔に浴びても中毒にはなりません。

 

地中1000~3000mにある地層に二酸化炭素を圧入するには、大きなエネルギーが必要です。日本・苫小牧の大型実証実験では、圧入した二酸化炭素の15%分の二酸化炭素を放出するエネルギーを要したそうです。これは、大きな問題です。

但し、カーボンニュートラルを目指すあらゆる施策で共通の課題とも言えます。電気自動車はその製造過程でガソリン車よりも多くのカーボンを排出します。太陽光パネルを製造する際にも大きな電力が必要です。また、廃棄するときにもカーボンを排出します。

 

CCSが唯一の解決策ではないですが、有力な施策であることは確かです。