コントラクトフードサービス市場規模3兆円。ホーユーの事業破綻問題

広島市の食堂運営会社、「ホーユー」による食事の提供がストップしている。

 

詳しいことはよくわからないのですが、基盤が脆弱な小規模事業者に全国21道府県の150を超える(実数はもっともっと多いようです)食堂が運営を委託していたそうです。割合がよくわからないのですが、保育園から小中高の学校給食がメインで自治体、企業、自衛隊から消防学校まで、さまざまな業態に広がっているようです。理由は判然としませんが、赤字受注を繰り返す自転車操業が行き詰ったということのようです。

 

HOYU
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食事を提供する企業が他の法人にある食堂運営を委託契約(コントラクト)されて行う給食事業のことを「コントラクトフードサービス」といいます。

日本における市場規模は、令和3年(2021年)に2兆9409億円でした。これは、給食市場のおよそ70%に相当します。

残りの30%は企業や学校などが自前で給食施設を運用しています。

 

業界トップは、病院食に強い日清医療食品で年商2570億円(コントラクトフードサービス以外の売上高を含みます。以下同じ)。2位は社員食堂に強いエームサービスの1610億円、3位は日系企業の海外事業所に多く展開しているグリーンハウス、4位は上場企業のシダックスで、ここまでが年商1000億円超えです。以下、LEOC、富士産業、魚国総本社、メフォス、日本ゼネラルフード、一富士フードサービスと続きます。全国で大小合わせると1万事業者くらいは手掛けていそうです。

 

大手企業は、コントラクトフードサービスでもどこかの分野に絞らないで、学校・病院・産業用・公共用などのバランスをとっています。コロナ禍による需要変動にも何とか耐えることができました。また、フードサービス以外の事業分野も持っているので、仮にこの分野が赤字でも他の事業分野で補填します。

 

家族経営に近い零細企業の場合は、また耐久力があると思います。

問題なのは、ホーユー(年商15~16億円だった)のような中小・中堅クラスの企業でしょう。昨年は大阪で村上給食(年商70億円規模)の倒産もありました。

もともと学校給食では夏季休暇があるので8月は仕事が無いといった需要変動があり、人のやりくりが大変です。コロナ禍も長引きましたし、労働コストの上昇、人手不足のエネルギーコストや食材価格の値上がりが響きます。

 

委託した側が積極的に関わって、フォローしていかないと経営が続かなくなる事業者が増える可能性があります。また事業者側では、フードサービス以外の多角化を考えるなどの対策が必要です。ただ、中小クラスでは容易なことではありません。