嫌疑不十分の不起訴なら復職させます

西武ライオンズの山川穂高選手を東京地検は29日に不起訴処分(嫌疑不十分)としました。 

 

<朝日新聞ネット引用>捜査関係者によると、山川選手の20代の知人女性は「昨年11月に東京都港区のホテルで性的暴行を受けた」として警視庁に被害届を出した。山川選手は「合意があった」と否認。同庁は今年5月、起訴を求める「厳重処分」ではなく、検察に起訴か不起訴の判断を委ねる「相当処分」の意見を付けて書類送検していた。

 

懲戒処分
懲戒処分

この事件が文春で取り上げられて以降、山川選手は試合に出ずに自主トレーニングを続けています。今季の成績は17試合に出場して打率.254・本塁打0・打点5です。

 

昨季の山川選手は本塁打41・打点90で、両部門の二冠に輝いています。

山川選手を欠いた西武ライオンズは、昨季の3位から、今季は5位日本ハムに1.5ゲームの差をつけられて最下位に沈んでいます。

 

今後の山川選手の処遇については、いろいろと取りざたされています。

一般の企業の場合には、就業規則に懲戒の基準が書かれていて、その基準に沿います。この基準を超えて処分をすることは違法です。また、基準に合っていると判断しても、当事者に弁明の機会が与えられていなければなりませんし、合理的な理由をもって相当な処分である必要もあります。

 

不起訴には、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3つの理由がありますが、嫌疑不十分は、刑罰を科すことができるほどの証拠がないことです。「起訴猶予」は、起訴しようと思えばできるけれども、示談が成立している場合などで検察官の判断で不起訴とするものです。

 

嫌疑不十分の不起訴の場合、一般企業では懲戒処分はおこなわれないと思います。示談が成立しての起訴猶予であれば、懲戒処分は可能ですが、懲戒解雇などの重い処分はできないことが多いでしょう。

 

尚、このケースで仮に起訴されたとしても、一般企業であれば懲戒解雇などの処分は難しいかも知れません。業務時間外の行為であり、加害の程度がそれほど重くないことから、報道などで広く知られた事案でない限りは、労働者保護の観点から否認されそうな印象です。

使用者が安易に懲戒権を使うことはできないので、慎重な対応が必要です。

 

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