コロナ騒動から回復も伸び悩む葬儀業

引き続いて、特定サービス産業動態統計調査から葬儀業をみてみます。 

 

コロナ禍のなか、葬儀は規模を縮小しておこなわれていました。コロナ騒動は沈静化したものの、葬儀の簡素化はトレンドとなった印象です。先代のときは大規模な葬儀をおこなった企業さんでも、「家族葬で済ませました」という通知を受け取ることもありました。このため、葬儀業は大不振かと思っていましたが、予想よりは悪くありません。

 

特定サービス産業動態統計調査(葬儀業)
特定サービス産業動態統計調査(葬儀業)

葬儀業は今世紀に入って急激な拡大をしてきました。2000年度に2611億円だった年間売上高は2010年には5000億円を超え、2014年度には6000億円を超えました。

以前は、自宅で葬儀をすることが一般的でしたが、葬祭場での葬儀に代わってきました。各地に新しい葬祭場がどんどん建設されました。

 

拡大を続けた葬儀業も、コロナ騒動の2020年度は前年比マイナス14.8%と大幅に落ち込みました。そして、その後の回復は結構早い印象です。昨年度(2022年度)は、早くも2019年度の97.6%まで戻しています。

 

葬儀業の売上高が戻ってきた一つの要因は、死者数が増えたこともありそうです。直近12か月(2022年7月から2023年6月まで)の死者数は160万3千人で、2019年1年間の死者数139万4千人より15%増えています。

それでも売上高が戻りきらないのは、葬儀単価(葬儀業売上高÷死者数)が、この期間で43万1千円から35万5千円に17%減ったことによります。

死者数の増加と単価の下落(葬儀の簡素化)ですが、どうも後者のほうが優勢な感じがします。そうなると、葬儀業の将来は少し厳しくなるかも知れません。