親族内承継。後継者という人生

事業承継では後継者がいるわけです。後継者になる人生というものを考えてみます。

 

中小企業の場合は、生まれたときから後継者として育てられるということは稀です。今、今後予想される事業承継に向けて、株式や税金対策などを含む計画を立案しようという優良企業でも40年前からずっと優良であり続けたという会社は少ないものです。

 

後継者
後継者

生まれてから学校を卒業する頃までに、家業を引き継ぐということを 考慮している人としていない人は半々のイメージです。

 

親御さんの意向で、家業と関連の深い学校に進学する人もいます。

しかし、全く畑違いの勉強をする人も多いです。製造業の会社を引き継いだ後継者さんが、芸術系の学部を卒業されていたような例もありました。これはこれで、その後の経営に役立ったようです。

 

学校を卒業して、いきなり自社に入社されたという例は、親族内承継では意外に少ないです。仮に引き継ぐ(引き継がせる)ことを決めていても、一旦は他の会社に就職するのが一般的です。もちろん、引き継ぐ気の無い方は当然です。

この他社での経験(一般的には自社より大きい会社)は、経験期間の長短や、職種などは様々ですが、その後の経営に役立っています。芸術を学んでプロの演奏家として採用された方でも、その経験がものづくりに活かされます。

 

その後に自社に転職することになります。最初は一社員として働くというケースと、いきなり取締役副社長になるといったケースはやはり半々です。どちらが良いとも言えません。ケースバイケースです。

一社員として数年毎にいろいろな部門を順次経験しながら昇進していくというのも好ましいです。一方で、後継者であることが周知されているなら、経営的な視点をもって業務に従事するのもよいです。いずれに場合でも、後継者が自分で直接携わる現業分門があることは大事です。

 

それから、満を持しての事業承継となります。親族内承継は、結果としてみると、後継者候補が誕生してから40年とか50年かけての壮大な旅路であったということもあります。 

但し、いろいろな経路はあっても等至性(等価性)が働くことが多いような気がします。どんな経験があっても、結局のところは同じような結果に落ち着くのかも知れません。