日本では半導体・デジタル戦略ということで、半導体産業に前のめりの風潮です。
私たちが社会に出た1980年代前半には、既に半導体産業ではシリコンサイクルという課題があることが認識されはじめていました。半導体は、概ね4~6年の周期で、需要の増減を繰り返すという経験則で、半導体産業黎明期から繰り返されています。半世紀以上を経過した現在に至っても、シリコンサイクルの課題からは逃れられないようです。
【ちょっと古いけどニュースを転載】
WSTS(World Semiconductor Trade Statistics/世界半導体市場統計)は2023年6月6日、2023年春季の世界半導体市場予測を発表した。それによると、2023年の世界半導体市場規模は2022年比10.3%減の5150億9500万米ドルで、2019年以来4年ぶりのマイナス成長になる見込みだ。
半導体産業を俯瞰してみれば、右肩上がりであることは間違いありません。10%超の減少とはいっても、5150億米ドルは、日本円で75兆円という巨大市場です。これは、10%超の減少が7.5兆円を超える需要減少を意味するということです。
自由主義経済圏の民間企業が手を出すにはリスクが大きい産業であることは間違いありません。そこで、各国政府は助成金の給付や税金の減免、インフラ整備や融資・債務保証などなんだかんだと支援策を講じてきました。支援競争です。
半導体産業は今後も伸びていくとは思います。しかし気をつけなければいけないのは、山高ければ谷深しということです。2022年の山・2023年の谷の次の山・谷がいつくるかはわかりませんが、仮に山の高さが7000億ドル、谷に深さが1000億ドル(15兆円)となる可能性は十分にあります。 気をつけておかないといけません。