ハワイ州マウイ島で山火事が発生して、居住地区への類焼によって大きな被害が出ています。
日本は、世界のなかでは異常なほど山火事の少ない国(というか列島)です。「グローバル・フォレスト・ウォッチ」という世界の森林動向を監視しているNGOのwebサイトがあります。今現在も世界各地で大規模な山火事が発生しています。日本以外の多くの国では、山火事は日常なんです。
2001年から2022年の間に、森林火災で失われた面積は1億2600万haと推定されています。最も多かったのは2016年で1年間に963万haの喪失です。
日本全体の面積は3700万haで、森林面積は2500万haです。22年間で日本の国土の3.5倍、森林面積の5倍以上が火災に遭っているというわけです。
日本での山火事による森林喪失は過去5年間の平均では年間700ha=0.07万haです。 日本の場合は山火事のほぼ全てが人為的な原因で起こる失火です。たき火が30%、火入れが20%、その他はたばこや火遊びなどが原因で、放火の場合も少しあります。
世界中で起こっている山火事は多くが自然発火です。
「高温×乾燥×強風」の条件が重なると、木の枝どうしの摩擦や落雷によって、森林が発火して燃え広がるわけです。
日本の夏も確かに暑いのですが、その他の季節は高温ではありません。温帯で海に囲まれた日本列島は、世界のなかでは雨量が多く、乾燥し難い環境です。台風などの強風もイメージされますが、大陸の東に位置する日本列島は、ならせば世界でも風の弱い場所です。つまり、3要素がそろわないので自然発火の山火事はほとんどおこりません。
世界ではこれだけの森林火災が起こっているので、消火活動がおこなわれることは少ないようです。管理焼却あるいは制御焼却と言われるそうですが、人や財産に対する影響を最小限にしながら燃えるのに任せるというわけです。
マウイ島の火災は、状況も原因もわかっていませんし、避難誘導に課題があったという報道もあります。全容がわかって、これ以上の被害が拡がらないように願います。