山口県からの人口流出に歯止めがかからず、とりわけ農山村の過疎化が課題になっています。
農山村地域を活性化するため、新規ビジネスの創出に取り組む事業者に対して、県や市町や支援団体が支援や協力をしていきます。しかし、どうも目に見えた成果につながっていないようです。農山村の根本的な課題に働きかけることが難しいので、見た目が綺麗なプランに飛びついているのが、成果につながらない原因かも知れません。
農山村の根本的な課題は何かというと、需要のある商品を生産できていないことです。
農山村の基幹産業は1次産業ですから、自然環境に直接働きかけて、価値のある農産物を得ることが必要です。
しかし、どんなに優れた農産物でも、それを購入する消費者がいなければ商品とは言えません。つまり、生産者と消費者の交流がどうしても必要です。交流した結果は、一般には農産物のブランド化の成立というかたちで結実します。
山口県でも農産物のブランド化(逆に言えば、ブランド野菜の流通促進)を一生懸命に図っていますが、完全な成功には至っていません。一つは、地産地消が進んでいる裏返しで、地域ブランド品がたくさんあるという事情です。つまり、「○○市△△地域のブランド野菜」とはなっても「山口県とか○○市のブランド野菜」にはなり難いのです。
そこで大分県が展開したように「一村一品」のブランド化をしたいところですが、山口県の市町村は大規模な広域合併をしているところが大半です。ふるさと納税などはこの合併自治体単位なので、○○市の「△△茄子」「××茄子」「◎◎茄子」といった具合にブランドが乱立して焦点がぼやけます。また、山口県では農協も県内統合しており、JA山口県になっています。
そこで、各地に生産者と消費者が交流できるような施設を設置しています。宇部市では楠こもれびの郷という直売所・農家レストラン・温泉温浴の複合施設もあります。狭い範囲限定のブランド野菜を手に取ってもらえる貴重な場です。このような消費者側が出向く交流は、いろいろな施策を繰り返し出していかないと継続することが難しいです。
一方で、ちょっと大き目な食品スーパーには地元品販売のコーナーがあるのが普通になってきました。生産者や生産者の団体がスーパーの棚を借りて農産物を販売するケースもありますし、店の側から取りにいくようなケースもあります。生産者が消費者のところに出向くタイプの交流で、好ましいように思います。
しかし、この場合に生産者が配送や棚管理をやるとなると、手間がたいへんです。まさに休む間もなく働かなければならなくなります。
やはり、この交流を仲介する事業者の存在が不可欠じゃないかと思います。生協(co-op)などが一時期やっていたように思いますが、移動・保管・配送の付加価値を消費者が(実は生産者も)しっかりとは認めないので、長続きしていません。
生産者と消費者の交流には少しハードルもありますから、交流から一歩進んだ協力とか連携とか、ということを考えていかなければなりません。