地球を冷やした?珪藻土の不思議。

久しぶりに珪藻土マットレスをみました。一時期は人気を集めた商品ですが、一部の輸入商品にアスベストが混入している事案があって、だんだん使われなくなっていました。

 

工場では、珪藻土をろ過助剤として使っていました。珪藻土は大きさが数10ミクロンの多孔質体です。珪藻という藻というか植物プランクトンの死骸で、外殻の珪素(シリカ)だけが化石として残ったものです。比表面積(重さ当りの表面積)が大きいので、高性能で精密な濾過助剤として化学工場ではたくさん使われます。

 

珪藻土
珪藻土

昭和化学工業さんが「珪藻土ドットコム」というwebサイトを運営されています。珪藻土の歴史から、特徴や用途まで幅広く、丁寧に解説しています。是非、眺めてみてください。

 

珪藻土の用途は幅広く、誰もが知らないうちにお世話になっています。

ろ過助剤の用途だけでも、ビールなど飲料・醤油など食品・抗生物質など医薬品・潤滑油など工業油・酸化チタンなど化学用途・プールや温浴施設・工場排水処理などで使われているそうです。

この他、建材、充填剤、触媒など幅広く使われています。

 

最初に書いたように、珪藻土は植物プランクトンの死骸が堆積して化石になったものです。つまり、太古のある時期に珪藻が大繁栄した時期があったということです。

 

これは、今からおよそ3400万年前のことです。珪藻はもっと前から存在していたのですが、水中を浮遊するプランクトンでした。それが、この時期に海面や湖面に浮いて生活する種に進化したのだそうです。どういう過程で進化したのかは、よくわかりません。

 

珪藻の繁栄は、大陸移動によって南極大陸が独立したタイミングなので、海流の流れが変わって海上近くが富栄養化したためとも言われます。また、進化した珪藻の天下もそう長くは続かなかったようです。

何はともあれ、3400万年前の海面や湖面は緑の珪藻で厚く被われていたようです。このため、珪藻の活発な光合成によって、二酸化炭素が急激に減少して地球はものすごく寒冷化していたということです。

 

さて、現在においても、どこかの海域を珪藻で埋め尽くせれば、地球温暖化問題が解決するかも知れません。しかし、緑の藻で被われた海が広がっていては、そもそも人間が生きていくには不都合が大きそうです。