電気自動車に乗ると本当に脱炭素に貢献することになるのですか?というご質問です。
答えはYesでもあり、Noでもあります。電気自動車は確かに走っているときには、二酸化炭素を出しません。しかし、電気を車載電池に蓄えて走るのですから、その電気をつくるときに排出される二酸化炭素をカウントしなければなりません。さらに、蓄電池の製造と廃棄に際して多量の二酸化炭素の排出があるということです。
そこで、電気をつくるときに二酸化炭素をどれだけ排出するのかが問題になります。これを排出係数というのですが、実は電力会社によって値が異なります。
宇部市のある中国地方の中国電力の排出係数は0.529㎏-CO2/kWhです。この値を代入して電気自動車の走行中排出二酸化炭素を計算すると、低燃費のガソリン車にも負けます。走行中で負けるのですから、蓄電池の製造と廃棄分を含めたライフサイクルでは惨敗です。なんだ、電気自動車なんてダメじゃない?と思われます。
しかし、関門海峡を渡って九州電力の排出係数0.296で計算しなしてみると、電気自動車が逆転勝利します。中国電力と九州電力の違いは電源構成の違いです。端的に言えば、中国電力では1基の原子力発電も動いていませんが、九州電力では電源の36%が原子力で、化石燃料を使用する火力発電とほぼ同量です。(中国電力は59%が火力発電)
つまり、電力を非化石エネルギーを使ってつくるのであれば電気自動車は脱炭素に貢献します。化石燃料を使ってつくった電気を使うのであれば、ハイブリッド車あるいは低燃費でコンパクトなガソリン車のほうが脱炭素になります。