JR美祢線は存続できるのか?

6月末の大雨で橋脚が流出するなど、大きな被害があった美祢線はバス代行運転中です。

 

美祢線は1905年に山陽鉄道として、厚狭~大嶺間(大嶺線)が開業しました。その後、大嶺~重安間に美祢軽便鉄道(美祢線)が開業、重安~於福間の延伸を経て、1924年に於福~長門市間がつながります。このときに、大嶺線と美祢線を統合して、現在の厚狭~長門市の美祢線となりました。来年が美祢線全通から100年になります。

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美祢線100周年(2024年)
美祢線100周年(2024年)

美祢線では、これまでも廃業の危機が何度かありました。2010年にも豪雨被害があって、復旧まで1年余りを有しました。今回の被害を受けて、100周年を迎えられるものか、地元では心配しています。

 

尚、7月に入ってからの大雨では、JR山陽本線の厚狭~小野田間も不通になっています。こちらは2週間程度で復旧する見込みですが、新幹線駅でもあるターミナル厚狭駅はちょっと寂しいことになっています。

 

美祢線
美祢線

美祢線の存続が危ぶまれるのは、収益性の悪さです。美祢線は山口県の山陽と山陰を結び、全長46㎞もあります。

しかし、平均通過人数が毎年減っていて2020年では1日に366人しかいません。

1年間の営業収入約7千万円を稼ぐのに、経費は5.4億円もかかります。

 

美祢線は普通列車しか走っていません。厚狭駅から長門市駅までJR線では1時間5分かかります。

JR線が不通になったのでバスで代行輸送がおこなわれていますが、厚狭と長門市の間は1時間24分です。尚、自家用車の場合はナビタイムで検索すると57分でした。

まぁ、バスでの代替でもあまり不便はなさそうです。

 

JR西日本は自主経営をする民間会社です。経営者は株主に対して結果責任を問われます。2010年水害の際には、美祢線の復旧費用は13.4億円でした。これをJR西日本と周辺自治体(山口県と三市)が折半で負担しました。今回、もし復旧させるならいくらの費用になるかは不明ですが、JR西日本が全額負担する選択肢はないでしょう。

 

知事や周辺市町は、美祢線の存続を要求すると言っています。自己責任を求められるJR西日本に、将来に渡って美祢線の存続、つまり損失の継続的な発生を強要することは無理です。

山口県や周辺自治体としては、JR西日本に対して、きちんとした損失補填の措置をとることを約束する義務があると思います。もちろん、県民・市民に説明したうえで、納得してもらわなければなりません。結構、難しそうな気がします。

 

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