ハイリスク・ハイリターンは無限の資金がなければ成り立たない

ハイリスク・ハイリターンというおまじないのような言葉があります。気をつけましょう。

 

ハイリスクな仕事が、必ずハイリターンをもたらすわけではないことは、経営者なら知っています。また、ハイリターンが期待できる仕事が、必ずハイリスクでもありません。ハイリターンが期待できる案件とは、自分の会社に技量と経験があって、間違いなくできる(つまりローリスクの)仕事のことです。

 

ハイリスク・ハイリターン
ハイリスク・ハイリターン

二つの仕事があるとします。

Aは、100万円のコストがかかり、50%の確率で10万円の利益があり、50%の確率で5万円の損失が出るとします。

 

Bは、100万円のコストで、50%の確率で55万円の利益があり、50%の確率で50万円の損失が出るとします。

 

どちらの仕事を受注しますか?と訊ねたら、経営者の10人中10人がAの仕事を選びます。

仮に、会社の資金が100万円しかなかったとします。Aの仕事を終えたときには、50%の確率で資金は110万円に増えていて、50%の確率で95万円に減っています。

Bの仕事の場合は、155万円に増えているか、50万円に減っているかのどちらかです。

 

AとBのパターンの仕事が続けてあると仮定します。Aの場合、110万円に増えた元手で次の仕事をすると50%の確率で121万円になり、50%の確率で104.5万円に減ります。

Bの場合は、155万円に増えた元手で次の仕事をすると50%の確率で240.25万円になり、50%の確率で77.5万円に減ります。問題は50万円に減っていた場合です。この場合は50%の確率で77.5万円に増え、50%の確率で25万円に減ります。

この仕事のやり方を4回繰り返すと、それぞれ16通りの結果が出ます。

 

 

Aのパターンでは、手元資金の最大は146.41万円で、最小81.45万円になります。最初の100万円を下回るのは5/16(31.25%)のケースです。

 

Bのパターンでは、手元資金の最大は577.20万円で、最小は6.25万円です。最初の100万円を下回るのは11/16(68.75%)の確率です。まぁ、普通に考えれば、1/2以上の確率で会社が潰れてしまいます。

 

ハイリスク・ハイリターンの振り子の絵は、あなたに無限の資本がある場合にしか成り立ちません。嘘があるのです。要注意です。