あじさいの興は、重ねか色か

桜が散り、つつじが終わると、あじさいの季節です。

 

山陽小野田市の江汐公園にあじさい園があります。いろいろな品種のあじさいが競って咲いています。あじさいは、伊豆半島に自生していた「がくあじさい」を母種として日本で改良された園芸品種です。梅雨の時期の鬱陶しい雰囲気を救ってくれて、ありがたい存在です。学名の属名 Hydrangeaは水の意味です。

 

あじさい園(江汐公園)
あじさい園(江汐公園)

日本語のあじさいの「あじ」は集まるという意味だそうで、小さな花(に見えるもの)が集まっているということから名付けられたそうです。

漢字で紫陽花と書きますが、白楽天が名付けた紫陽花はライラックのことで、誤用なんだそうです。

 

万葉集にあじさいの歌が2つだけあります。

 

あぢさいの 八重咲くごとく 弥つ代にを いませ我が背子 見つつ偲はむ  (橘諸兄)

 

言問はぬ 木すらあぢさい 諸弟らが 練りの村戸に あざむかえけり(大伴家持)

 

橘諸兄は「八重咲くあじさいの花のように、いつまでも栄えてください」と詠みました。一方で、大伴家持は「色をかえるあじさいの花のように、嘘をつかれてだまされた」と嘆いています。ちょっと面白いですね。