ある飲食店さんで、コロナ禍に800円のランチと同じ料理(量も全く同じです)をテイクアウトとして750円で提供していました。
50円の値段差は、テイクアウトにはお味噌汁がつかないからです。お店の原価は、容器代がかかる(25円くらい)ので、テイクアウトのほうがかさみます。容器への盛り付けなども、ひと手間増えますから、テイクアウトの価格を値上げしたいくらいです。しかし、お客さんからはランチ800円は納得価格だが、テイクアウトの750円は高いと毎回言われるそうです。
お店の方としては、困っているのだと相談されました。
でも、逆に考えてみれば、お客さんはそのお店で食べることに付加価値を感じているということです。
確かに、ランチを食べる”モノ”と考えれば、お店で提供するよりテイクアウトのほうの値段を上げることが合理的なように思います。
しかし”モノ”ではなく、お客様がランチをとるという行為 、お店側からはサービスと考えれば、テイクアウトの値段は下げるのが当然かも知れません。
このことは、お店のサービスの質を高めて、サービスの量を増やすことを、堂々と価格に示すことの合理性を示しています。飲食店であれば、お店を清潔に保ち、雰囲気をよくすること。居心地のよい調度や、快適な環境をつくること。店員が皆、気持ちのよい接客をすること。などを徹底して、合理的な価格を提示することが大事ということです。
もちろん、食器も大事です。お客様が、25円の持帰り容器で食べるより、よほど気分がよくなるような食器を、お店の方が厳選して提供することも大事です。