1日は24時間で均等に分かれています。定時法というものですが、時計がない時代には使えませんでした。
そこで、夜明け前から日没後までを等分に分けた不定時法という時刻の決め方がありました。一日の始まりが「明六つ」、終わりが「暮六つ」です。鎌倉時代から明治5年まで、公式に使われていました。この場合、明六つから暮六つまでの長さが季節によって異なります。今日の江戸(東京なら)午前4時前に明六つ、午後7時20分頃が暮六つです。
日付が変わる午前0時頃が九つです。陰陽道では9が最高数です。以下、9×2=18なので八つ、9×3=27で七つのように減っていきます。昼を6等分、夜を6等分するので四つまでいくと九つに戻ります。
ところで、昼がはじまる明六つは日の出時刻ではなく、それより36分ほど前の明るくなった時刻で、暮六つは日の入りからやはり36分ほど経った暗くなる時刻です。夏至の頃では、明六つは午前3時50分で暮六つは午後7時36分ですから、17時間近くになります。働き者の江戸の庶民にとっては、夏場の仕事は大変です。
江戸の町では、この6等分した時間の中央に、太鼓や鐘をこの数だけ叩いて(撞いて)、庶民に時を知らせていました。このため、庶民の多くは時刻をおよそ1時間遅れるように誤解していた人も多かったそうです。
おやつを食べる昼八つは、春分・秋分なら午後2時頃でちょっと早いです。しかし、八つの太鼓や鐘が鳴るのは八つ半の午後3時というわけです。
江戸時代の定時法では、1日を12等分して十二支をあてはめた十二辰刻が使われます。午後11時から午前1時が子の刻、午前1時から3時が丑の刻・・となります。
午前0時は正子で午後0時が正午です。幽霊がでてくる「丑三つどき」は丑の刻を4つに分けた3番目のことなので、午前2時から2時半頃になります。