お酒の起源は?人類誕生よりずっと前のこと

明治の頃に建った酒蔵を訪問しました。酒米を蒸す甑が載る大きな和釜が現役で活躍しています。 

 

お酒の起源はいつかな?と調べてみると、人類が誕生するよりずっと前だそうです。お酒はエチルアルコールですが、果実など糖分を含む植物は1億年くらい前には地球にあり、アルコール発酵する酵母菌はもっと昔からありました。つまり、自然界ではそのころからお酒ができていたようです。

 

岸田総理「国酒」
岸田総理「国酒」

500万年以上前に人類が誕生したときには、既にお酒というかアルコールを口にする機会がいくらかあったと思われます。人が自らアルコールをつくったのがいつかは、よくわからないようです。

 

日本では秋田県の池内遺跡でニワトコの実を布のような編み物に入れたものが発見されています。この遺跡は縄文時代前期、今から約5500年前のものです。遅くともその頃には日本国内でも酒造りがおこなわれていたようです。

 

このほか、ヤマブドウなどの果実をつかった酒造りをしていた遺構もみつかっています。いい感じに酔っ払っていた連中も多いでしょうから、年々酒造りも進歩していたのではないでしょうか。

 

さて、米のお酒はないのかと思いますが、そもそも日本にはまだ米がありません。

今から、3000年くらい前の縄文後期になってようやく稲作が日本に伝来します。インドのアッサム地方で稲作がはじまったのは7000年以上前といわれますから、4000年かけてようやく日本列島に伝来したというわけです。

 

こうなるとしめたもの。果実なんか棄てちゃって、お米を使った美味しいお酒をどんどん造るようになったというわけです。古事記でも日本書紀でもお酒と言えば米の酒です。弥生も飛鳥も奈良も京も江戸もずっと、3000年間、日本でお酒と言えば米の酒でした。

しかし、今や容量ベースでは日本酒(清酒)のシェアは5%しかありません。

 

地元のお米で、その土地の水で、地場の酒蔵がつくる日本酒は、まさに神酒であり、神社などの祭礼にも欠かせません。文化的な意義も大きく、日本酒や酒蔵を絶滅させてはご先祖様に申し訳がありません。

今では、吟醸酒など新しいテイストのお酒が増えています。お酒は酔うために飲むものではなくなり、楽しむものです。若い人や外国の型にも大いに人気になっています。酒造業で大きく発展することはできなくても、よいお客様とともに事業が続いていければよいと思います。