食糧の安全保証には、裏作で麦をつくるのがよいが・・

 令和4年産の麦は、全国の作付面積が約30万ヘクタールで、収穫量は約123万トンでした。

 

前年(令和3年)産と比較して、作付面積は約3%(7,600ha)増加して約19万haでした。収穫量は約8%(10.5万トン)減少して約123万トンでした。この麦は、小麦+大麦+裸麦の合計で、収穫量123万トンの内訳は小麦が99万トン、大麦が22万トン、裸麦が2万トンです。 尚、米の作付面積は約155万ヘクタールで、収穫量は670.1万トンでした。

 

麦(農水省webサイトより)
麦(農水省webサイトより)

2022年のロシアによるウクライナ侵攻、その前年はアメリカ大陸の高温による不作などの影響を受けて、国際的に穀物価格が上昇しているといわれます。

 

現在(5月5日付け)で、米は518ドル/トン(1ドル=130円として)67円/㎏で、小麦は238ドル/トン=31円/㎏、大豆は540ドル/トン=70円/㎏が現在の相場です。

確かに、数年前の安値水準と比較すると1.5~2倍ですが、日本人の実感としては穀物価格が高価ではありません。

 

このため、穀物は安価な海外産を輸入することになります。小麦は国内で99万トンの生産に対して4.6倍の455万トンが、アメリカ・カナダ・オーストラリアなどから輸入されています。国産の麦が無くなっては困るので、麦生産には「水田活用の直接支払交付金」「畑作物の直接支払交付金」「収入減少影響緩和対策」、いろいろな交付金などが出ます。

 

それでも、国内の麦(特に小麦)の生産はあまり大きくは伸びていきません。

いくつか理由があるようですが、品質面の課題もあるそうです。小麦の主な用途はパン類、菓子類(カステラ・ケーキ・ビスケット)・麺類(うどん、パスタ)ですが、国産より外国産小麦のほうが味や食感がよいことも多いそうです。

 

また、外国の麦畑は1戸当りの作付面積が大きいので、生産ロットが大きく、大手のパンメーカーや菓子メーカーにとっては、外国産小麦を使う方が品質が安定した商品を大量につくることができます。日本の小麦農家は5~6haの作付面積が平均的ですが、アメリカの穀倉地帯では150~350haが平均ですから50倍違います。

 

なかなか難しい問題です。