NHKオンライン:ロシアの民間軍事会社 ワグネル「十分な弾薬なければ全滅も」
ウクライナ東部の激戦地バフムトでは、ロシア正規軍が撤退(戦術的移動?)して、戦闘を続けているのは民間軍事会社ワグネルの兵隊だけのようです。ワグネルの創設者、プリコジン氏は「十分な弾薬がなければ、われわれは全滅するだろう」と語って、ロシア軍からの兵站維持を強く求めています。
プリコジンという方は、プーチンの料理人と言われている人です。レニングラード(今のサンクトペテルブルグ)で水上レストランを経営していた人物ですが、政治的な野心があったようです。
このレストランをプーチン大統領がブッシュ米大統領との会食会場に使うなど、ひいきにしたことから、プリコジン氏はプーチン大統領の側近になりました。
ロシア最大の民間軍事会社ワグネルは、プリコジン氏によって2014年に創設されたようです。(諸説ある)シリアや中央アフリカ、リビアなどアフリカの内戦に要員を派遣してきたようです。
そして、今回のウクライナ侵攻では2~4万人の受刑者を含む数万人の要員を派遣しており、数千人の死者が出ていると推定されています。
そこで、ワグネル?ってどういう意味なのかです。諸説あるのですが、19世紀のドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーに由来しているという説が有力なようです。
「ニーベルングの指環」「ワルキューレ」など、多くの歌劇を作曲し、楽劇王と言われるワーグナーです。ワーグナーさんとしても、まさか侵略戦争の片棒を担ぐ民間軍事会社の名前に使われるとは、思ってもみなかったでしょう。
この背景は、ナチスを率いたヒトラーがワーグナーの熱狂的な信奉者だったことだそうです。ヒトラーはドイツの文化や伝統を重んじ、それ以外のものを排斥しまいた。音楽の分野では、ワーグナーやバッハ、ベートーベンなどのクラシック音楽を推奨して、前衛音楽を取り締まりました。とりわけ、力強くて民衆の熱狂をもたらすワーグナーの音楽は、ヒトラーのお気に入りで、ナショナリズムを高めるナチスの政策に利用されました。
プーチン大統領は、ウクライナ侵攻をネオナチとの戦いと称して正当化しようとしています。しかし、その先鋒を務める民間軍事会社が、まさにネオナチを信奉しているという、お粗末なことになっています。