2024年問題とは、時間外労働の上限規制の適用猶予が終了することによる問題です。
建設業と運送業については、事業者さんからの相談も多く、いろいろな改善策を考える手伝いをしていますから、前から知ってました。ちょっと迂闊だったのですが、この適用猶予終了業務には他に2つ、医師と沖縄県と鹿児島県の砂糖製造業というのがありました。砂糖はともかく、医師のほうは影響がありそうです。
私自身は大病院に掛かったことがないので、実感はないのですが、医師の残業が規制されるようになると、いろいろ困ることが起こりそうです。大きな手術などは長い時間がかかるのでしょうし、手術後のケアや判断には医師がついていなくてはならないでしょう。
ただ、建設業や運輸業従事者とは異なり、医師の数は年々増えているのがちょっと救いです。厚労省の統計によると、医師の人数は2000年は25.6万人、2010年は28.7万人、2020年は34.0万人(歯科医師除く)です。
医師の働き方改革の解決策は、建設業や運輸業とは少し異なって、第一はDXということになるそうです。デジタル技術の活用によって、医業のサービス業である部分の生産性を向上させる、あるいは医療行為そのものの効率を高めるということが予想されます。
既に電子カルテは導入が進んでいますし、オンライン診断なども新型コロナ禍で普及しました。医療検査機器はデジタル技術の導入で精度が向上していますし、近い将来にはビッグデータを活用してAI(人工知能)による診断が主流になりそうです。
また、医師に限って認められている医療行為や判断業務を、薬剤師や看護師などの医療従事者などに移管することも増えそうです。軽症でも救急車を呼んだり、夜間休日診療を利用する人の存在が指摘されていますが、デジタル診断を活用して、救急隊員や看護師さんに診断の権限を委譲して構わないと思います。
建設業や運送業も同じですが、「日本品質」というか、高過ぎるサービスの質を合理的なところまで調整することで、働き方改革は成立します。いい意味で、日本人がおもてなし文化から脱することが必要です。