尹錫悦大統領と岸田首相という組み合わせで、今後の日韓関係が改善することに大いに期待しています。
文在寅前大統領が率いていた時期の韓国の政策は、日本にとって受け入れがたいものでした。文大統領は韓国を含む東アジアの均衡が、どういう力のバランスで成り立っているかという認識に欠けていたと思います。とりわけ、この地域における日本の力量(日米同盟を含む力量)を過小評価というか、ほとんど無視したことは間違いでした。
尹大統領が日本との関係を修復して、日米韓の安全保障体制を再建しようとしているのは望ましい変化です。韓国の平和を守り、東アジアの力の均衡を保つために、尹大統領の登場は大きな希望と思います。
逆に言えば、仮に韓国で文大統領の路線を引き継ぐ進歩派政権があと5年続いていたら、東アジアにおける現状変更はさらに大きくなったことは疑う余地がありません。
ただ、日本政府あるいは日本人には韓国の政権に対する不信感が拭い去れません。5年に一度の政権交代の都度、その政策が大きく変わります。文政権と尹政権の政策の差異は、対日関係に留まらず非常に大きいように見えます。
また、政権を担う5年間のなかでも、次の大統領選をにらんで政策が大きく振れることもあります。
尹政権の基本的なスタンスは李明博政権と似ているようです。日本では李大統領の就任時には大いに期待したのですが、政権後半では竹島上陸パフォーマンスをするなど、韓国の元首としては常軌を逸した行動をします。当時の日本が民主党政権であったことが大きな原因ではありますが、結果として、少なくとも日韓関係については期待外れに終わりました。
北朝鮮の金正恩政権の安定性がどの程度盤石なのかが不透明であり、中国の習近平政権が軍事力による覇権拡大の意図を隠そうとしなくなっているところでは、日韓・日米・韓米のそれぞれの関係が良好であることがこれまで以上に重要だというのは間違いないでしょう。