衆議院補選の争点は「防衛費増額」と「少子化対策」なんだそうです。
「少子化対策」が争点ということですが、各党の公約には大した違いが無いような気がします。とにかく子供を産んだらお金をあげるというバラマキ競争のようです。そもそも、お金がもらえるのだから子供を産もう、と考える夫婦があるとは思えません。財源の心配をしていますが、実際はあまり関係ないんじゃないでしょうか?
各党の少子化対策ですが、「異次元の対策」を唱える自民党はお得意の”様々な”対策を羅列しています。こども食堂の支援、保育士の処遇改善などをアピールですが、少子化対策とは直接は関係ない景気対策やばらまき政策がたくさんあります。
公明党は児童手当と医療費助成、維新は出産・育児バウチャーの発行、立憲は出産・教育・給食無償化・・、自民党と違って焦点は多少はっきりはしていますが、選挙対策のばらまき合戦で違いは少ないです。
さて、日本の合計特殊出生率の推移をグラフにしてみると、既に50年前には人口置換出生率(2.07)を下回り、少子化時代に突入しています。長期推移からみると今になって少子化対策というのかは疑問ですよね?
ただ、グラフを見て気づくのは2005年の1.26を底にして、出生率の回復がみられ2015年に1.45とピークとなり再び低下していることです。2022年はコロナ騒動の影響もあって1.27まで下がります。つまり2015年(あるいは2005年)以降の短期推移からみると、今になって少子化が加速しているように思うわけです。
日本の人口構成は戦争の影響で少しいびつです。戦後の1949年までに生まれた「団塊の世代」という大きな人口の塊があり、その子供に当たる1971~1974年生まれの「団塊ジュニア世代」の塊があります。
2005~2015年の出生率回復は、団塊ジュニア世代が30歳代から40歳代前半に当たります。この世代でいわゆる駆け込み出産(出産できる年齢のうちに)と第三子出産が増えたことで、一時的に出生率が回復しました。
出生率は、国が豊かになって乳幼児死亡率が下がり、平均寿命が延びれば、下がっていくのが自然なことです。
世界196か国中で5番目に低い乳幼児死亡率、平均寿命は世界1位(女性)と3位(男性)の日本ですから、出生率が下がるのは当然です。
☞ 2019/04/16 2100年に日本の人口は世界29位
外国から移民を受け入れるという議論もありますが、今さらナンセンスな感じがします。
中国でも出生率が1.7となり人口減少が課題になっています。東アジア・太平洋諸国全体でも出生率は1.8です。アジアの人口大国インドやインドネシアでも出生率は2.3くらいで下がってきています。日本人に馴染のあるタイは1.5、ベトナムは2.0です。唯一、フィリピンが2.5と高めですが英語圏のフィリピン人の移住先は中東や欧米になりがちです。
日本の周辺、アジアの国には移民政策をとる国はもう少なくなっています。もっと言えば、人口増加への対処が必要な国はアフリカ、それもサハラ以南の国に限られてきました。日本からはいかにも遠いです。
政治の責任は、少子化対策と言って思考停止してバラマキをするのではないでしょう。今後予想される人口規模と人口構成は明確なので、これに向き合って、どんな国づくりをするのかを現実的に考えることが大事です。