7世紀のインドの数学者・ブラーマグプタが「ゼロ」を発見しました。
「ゼロの発見」は中学校国語で教科書に載っていたと思います。それまでは数字は1から2・3・4・・と続くばかりで、0(ゼロ)という概念がなかったというわけです。これは、アキレスと亀のパラドックスで象徴されるように、西洋ではゼロや無限は神の領域として忌避されたという背景があるそうです。
東洋の思想では、色即是空と唱えるようにゼロ=空を避けることはありません。
中国で1世紀に出版された「九章算術」という本に「無入」という言葉でゼロが表現されています。
「九章算術」では、「ゼロからプラスの数を引くとマイナスの数になり、ゼロからマイナスの数を引くとプラスの数になる」とマイナスも定義されています。
また、分数も定義されているので1より小さい値の計算(分数の加減乗除問題も載っている)が可能です。ちなみに九九も載っています。
そして、400年ほど前にゼロ、マイナスに続く大発明がありました。スコットランドのジョン・ネイピアという人が対数とともに小数点を発明したのです。ちょっと驚くことですが、それまで小数点は誰も見つけていませんでした。プラス1とマイナス1の間にある数字は、小数点の前にゼロを置くという、今では当たり前のことも僅か400年の歴史しかないのですね。
ネイピアはスコットランドのマーキントン城の城主でしたが、熱烈なプロテスタントでカトリック教会やローマ教皇を非難する宗教活動家でもあったそうです。宗教と自然科学の関係はいつの時代も複雑です。