農水省の「農業経営の法人化のすすめ」から紹介します。
国は農業経営の法人化を推奨しています。実際に農業経営の法人化は進んでおり、法人経営体数は毎年2%程度増えており3万2千を超えています。一方で、個人事業の農業(農家)は毎年5%程度減っており一昨年に100万を割り込み97万程度になっています。
農業従事者は高齢化が進んでいます。日本の農家は長らく昭和一桁世代が支えてきました。少し前までは、農家のお父さんが60歳定年以降に、農業に専念するケースが多くありました。
しかし、今や昭和一桁世代と言えば90歳を超えています。戦後生まれ世代が後継するところですが、企業の雇用延長によって農業に戻る時期が70歳とかになっています。
結果として、農業の担い手不足が顕在化しています。
さらに農業の自由化が進んでいくなか、競争も激しくなってきました。農業の法人化を進めて、家族以外の従業員を雇用して、大型の農業機械を導入し、事業規模を拡大することで、持続的な日本の農業をつくる必要があります。また、法人化によって円満な経営継承ができることも魅力です。
農業経営の法人化の主なメリットとデメリットは次のようなところです。
経営上のメリット
1.経営管理能力の向上(家計と経営が分離され、経営管理が徹底される)
2.対外信用力の向上(金融機関や取引先からの信用が増す)
3.経営発展の可能性の拡大(雇用しやすい、補助助成金の活用)
4.農業従事者の福利厚生面の充実
5.経営継承の円滑化
地域農業としてのメリット
1.新規就農の受け皿になる
制度面のメリット
1.税制の活用(節税になる場合がある)
2.融資限度額の拡大
無形のメリット
1.経営者としての自覚(「社長」になる)
経営上のデメリット
1.管理が煩雑になる(正規の簿記・家計と経営の分離)
制度面のデメリット
1.法人設立費用・維持費用がかかる
2.必ずしも節税にならないケースもある