ビルで働く人はパンケーキクラッシュも考慮する

トルコ南部で、現地時間6日午前1時17分、マグニチュード7.8の強い地震がありました。

 

その約9時間後にはマグニチュード7.5の大きな余震もありました。当分の間は、大きな余震があるかも知れず、警戒を続けなければなりません。トルコでの地震被害の特徴は、中層から高層の住宅用建物が「パンケーキクラッシュ」による全層崩壊を起こして倒壊したことです。深夜1時過ぎの発災でしたから、睡眠中だった多くの人が倒壊に巻き込まれました。

 

NHKニュース:パンケーキクラッシュ
NHKニュース:パンケーキクラッシュ

パンケーキクラッシュは地震によって与えられた下からの揺れの力が、建物のなかで上下に反復し増幅されることで、一部のフロアが抜け落ちて(層崩壊)パンケーキのように重なることを言います。

 

日本でも、阪神淡路地震や熊本地震(いずれもマグニチュード7.2)などの内陸型地震でパンケーキクラッシュが見られました。

 

阪神淡路では、老朽木造住宅を中心にして全壊が約10万5千棟、半壊が約14万4千棟となり、朝5時台で就寝中だった人が多かったことから、関連死を含めて6千人以上が亡くなりました。この他、地震の後に発生した火災で7千棟が焼失しています。阪神淡路でみられたパンケーキクラッシュは、1階や4階・5階など特定のフロアだけが崩れる現象が多く、全層崩壊はあまり多くありませんでした。

 

熊本地震は、阪神淡路と同規模の地震でしたが、建物の全壊が約9千棟、半壊が約3万4千棟、死亡者は216人とされています。人口密集地ではなく、高層建築が少なかったことに加えて、耐震基準が強化された1981年以降に建てられた建物が地震の揺れに耐えたことから、パンケーキクラッシュの例はあまり多くはありませんでした。 

 

ビルに住んだり勤務している人、特に1981年以前に建てられた(耐震補強をしていない)ビルの場合はパンケーキクラッシュの被害に遭う危険性が高まります。過去の例からみると、1階あるいは中層階(5階建ての3階とか、8階建ての5階とか)は可能性が高そうです。

予め、リスクアセスメントしておくことが必要です。

 

写真は阪神淡路地震で6階部分が層崩壊した神戸市役所と、熊本地震で4階部分が層崩壊した宇土市役所。