ロシアの民間軍事会社ワグネルは、囚人を兵士として募集するのを完全に停止したそうです。
これまでにワグネルが採用した受刑者の数は、報道によると4万人を超えるとされており、その多くが既に死傷したようです。受刑者の兵士は10人くらいのグループで軽武装のまま、適地に飛び込む役割をさせられるそうです。要するに囚人兵は「捨て駒」で、ウクライナ軍の弾薬を消耗させるのが目的です。人命はとても軽んじられています。囚人といっても、好んで参加したいとは思わないですよね。
さて、ロシアに兵士候補の受刑者は一体何人いるのだろうか?と疑問に思います。
日本の受刑者の数は2021年末で全て合わせても3万8895人でした。このなかには、女性や高齢者も含まれます。
兵士として戦場に送ることが可能?な40歳未満の男性となると、日本全国の刑務所を合わせても数千人でしょう。
ロシアの受刑者の数は50万人くらいのようです。ただ、犯罪を犯していないが収監され、勾留されている政治犯のような人が別に20万人近くいるようで、ロシアの正確な刑務所人口はよくわかりません。それにしても、島根県や鳥取県の人口に匹敵する人数が刑務所で生活していると考えると、ちょっと驚きます。
そうはいっても、ロシアの刑務所でも女性や高齢者もいるでしょう。薬物やアルコール中毒、病気や障害のある人もかなりおりそうです。政治犯・思想犯も排除されますから、ワグネルがリクルートできる健康な男子の数は限られそうです。ワグネルは、募集を停止したのではなく、兵士になれそうな人がもう刑務所に残っていないのかもしれません。
ところで、世界では約1100万人が囚人として刑務所などに勾留されているそうです。国別の刑務所人口は、ロシアの50~70万人に対して、アメリカでは210万人を超えています。アメリカは世界で最も囚人の多い国です。以下、中国170万人、ブラジル80万人弱です。
日本では刑務所施設の半分が空いています(2021年収容率50.5%)が、世界の多くの国では定員オーバーだそうです。収容率110%を超える国が102、200%を超える国が22あるそうです。☞ グローバル・プリズン・トレンド
こんなに受刑者が多いなら、囚人を戦場に投入することがよくあるのかと想像するのですが、実はロシア(ソビエト連邦)以外では第二次大戦のナチスドイツくらいで、ほとんど例はないようです。囚人部隊を監督して戦果をあげるのは難しいということなんでしょう。