昭和の経営戦略をおさらいです。2日目は、1968年(昭和43年)BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)のPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)。
PPMは、経営資源を投入して強化すべき事業、逆に経営資源を引上げて撤退するべき事業を、キャッシュフローという視点で分析する手法です。事業や製品の戦略的な集合体をSBU(戦略事業単位)といいます。以前は、大企業グループでは、○○事業部ではなくて、○○SBUという部署名がよくありました。
縦軸は市場成長率です。
市場が成長している事業では、多額の投資が必要です。一方で、市場が成熟してくると投資を回収する時期になります。
横軸は相対市場シェアです。
市場シェアが高いということは、他者より累積生産量が多く、生産コストが低いということになります。
このマトリックスの4つの象限です。
高市場成長×高市場シェアは「花形」。市場成長に合わせて投資を継続してシェアを確実にする事業です。
成熟市場×高市場シェアは「金のなる気」。投資を抑えて資金を回収し、花形や問題児の事業に資金を供給する事業です。
高成長市場×低市場シェアは「問題児」。市場成長に見合うだけの追加投資をしてでもシェアを高めるのか、撤退するのかを決めないといけません。
低成長市場×低市場シェアは「負け犬」。事業を続けていても将来性が乏しいようなので、撤退を検討することになります。
PPMでは、各象限に事業がバランスよく配置されるのが理想です。「花形」は大きい方がよく「負け犬」は小さいほうがよいですが、「問題児」がいないと次の花形が育ちませんし、「金のなる木」がないと花形や問題児を育てる資金が続きません。
PPMはわかりやすいマトリックスですが、単純すぎるという課題があります。例えば、「負け犬」事業であっても、地域社会への貢献といった社会的な意義とか、創業時から永年続く事業といった社内的な意義から撤退しない場合もあります。