2022年11月の消費者物価指数は前年比3.7%上昇しました。
経済状況にはインフレとデフレがあります。日本はバブル崩壊以降、物価が上がらないデフレに苦しんでいました。将来において物価が上がらないのなら、消費をできるだけ後回しにする人が増えて、景気はしぼんでいきます。賃金も上がりません。内国人が消費意欲がないので、インバウンドと称して外国人に爆買いを迫ったりしました。
それでも2012年以降のアベノミクスで少し様相が変わっていました。簡単に言えば、安倍晋三首相は金融緩和と財政出動で国策としてインフレにしようとしました。
結果は物価の2%上昇とまではいきませんでしたが、デフレではないという状況にまでは持っていきました。
ところが、第二次安倍政権の跡を継いだ菅義偉首相は、コロナ禍にあったこともあり、一転して携帯電話料金の値下げに象徴されるデフレ政策を採用します。
野党の実質賃金が増えていないという声に応えて、物価を下げにかかりました。この政策は、コロナ禍でそもそも消費が落ち込む日本にとって、悪い結果をもたらす政策だったとは思います。しかし、菅政権が短命で終わり、コロナバブルの様相を呈したことで、スガノミクスの評価はできません。
安倍・菅両政権の経済政策は真反対でした。後を継いだ岸田文雄首相の経済政策はなかなか定まりません。
長期安定化したコロナ騒動に、ロシアのウクライナ侵攻、これに乗じた中朝の危険な動きなども相まって、落ち着いた判断が難しいようです。
「成長と分配」はどうも「バラマキと賃上げ」という意味のようです。インフレ政策に近い印象もありますが、バラマキが物価抑制に向かっている矛盾があります。
1のバラマキが2や3に増えて返ってくるのが、よいバラマキですが、物価抑制の場合は1は1以上になりません。また、バラまいたものはいつの日にか誰かが負担しなければなりませんから、成長につながらないように見えます。
消費者物価と同じように重要なものに資産価格の動向があります。物価が上がらないこと以上に、バブル崩壊以降の資産価格が下がったままという問題がありました。グラフは公示地価の推移です。バブル崩壊で一気に1/5以下に下がった地価を、アベノミクスが徐々に回復に向かわせたところでした。この動きを止めてはいけません。
消費者物価は国際的なエネルギー危機の後押しで上がってきました。この千載一遇のチャンスを逃してはいけないでしょう。政策で物価を過度に抑制することは正しくないと思います。そして、安倍政権退陣後に上昇を止めた資産価格を下げに転じさせない土地利用政策も重要と思います。仮に個人の権利を一部制限してでも、政策的な再開発を急ぐべきでしょう。
いまは、日本経済再生の絶好の機会です。現状維持に汲々とする財政政策は大胆に修正して、経済成長を大加速させるようにして欲しいところです。