大阪湾にマッコウクジラ・・困りますよね

大阪湾の淀川河口付近に迷い込んだクジラが発見されてから丸2日が経過しました。

 

鯨等が本来の生活域以外の場所に出現することをストランディング(stranding)というそうです。近年、マッコウクジラのストランディングは増えていて、伊勢湾など主に本州の太平洋岸でしばしば見られるそうです。しかし、大阪湾の最深部まで迷い込むのはちょっと異例なことのようです。 

 

大阪湾のマッコウクジラ
大阪湾のマッコウクジラ

マッコウクジラは歯クジラ類で最大の種で、成熟した固体は全長20mにも達します。主に水深300~1000mくらいの海で、大きなイカなどを捕食して生きているそうです。

 

大阪湾の水深が数mのところでは餌になるものがありませんから、衰弱していき最終的には衰弱死してしまうと予想されます。

 

鯨が死んでしまうと鯨油や鯨蝋が身体から流れ出して海洋汚染の原因になりますし、死骸を食べるサメなどが集まってくるのも困ります。監視をしている海上保安庁の船が沖合に曳航して処分するか、陸上に打ちあがってしまった場合は地元自治体がどこかに埋めてしまうしかありません。いずれにせよ、難易度が高く、結構な手間と費用がかかるので、負担は大きいです。できれば、クジラさんには来てほしくないです。

 

マッコウクジラのストランディングが増えている原因は定かではありません。

マッコウクジラは19~20世紀には鯨油や鯨蝋をとるための捕鯨によって1/3にまで減ったといわれます。アメリカが日本に開国を迫った最も大きな理由が、マッコウクジラを捕獲するための基地にすることだったというのはよく知られています。

そのマッコウクジラの個体数は、捕鯨禁止の流れとなったこの40年余りで急速に増えています。ストランディングの増加と関係があるかも知れません。

 

今は単一個体のストランディングですが、今後は集団座礁するマスストランディングという現象がみられるようになる可能性もあります。その場合は、沿岸住民や自治体の被害はかなり大きくなります。