小規模企業共済は、小規模企業の経営者や個人事業主の退職金準備という位置づけです。
商工会で相談を受けたので、小規模企業共済についてちょっとご紹介します。小規模企業共済制度は 1965 年に設立されています。小規模企業の経営者や個人事業主が廃業や退職した後の生活に備えるものです。また、小規模企業経営者や個人事業主は社会保険など各種制度の恩恵を受けることが少ないため,社会保障政策の不備を補完する役割もあります。
中小機構のwebサイトからポイントを転記します。
小規模企業共済制度の現在の在籍人数は約159万人、資産運用残高は約10兆8,847億円です。令和3年度の受給状況は、共済金受給額が約5,077億円、共済金受給額の平均は1,128万円、共済金受給者の平均在籍年数は約19年となっております(令和4年3月末現在)。
☞ 結構な規模でしょ。加入している事業主・経営者一人当たりで685万円になります。
月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能で、加入後も増額・減額できます。確定申告の際は、その全額を課税対象所得から控除できるため、高い節税効果があります。
☞ これは個人としての節税効果です。生命保険など、法人と個人で折半するものとは違います。また、1年分とかを前納することもできます。その場合は少し(9/10000)ですが掛金が減額されます。月の掛金5万円を1年前納すると2,970円(但し、5,000円を超えたら戻る)のキャッシュバックがあります。
共済金は、退職・廃業時に受け取り可能。満期や満額はありません。共済金の受け取り方は「一括」「分割」「一括と分割の併用」が可能です。一括受取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は、公的年金等の雑所得扱いとなり、税制メリットがあります。
☞ このメリットは大きいです。尚、共済金の予定利率は1.0%ですが、近年の運用益はこれを上回っていて、令和4年度の付加共済金は0.504%でした。10.9兆円の資金の8割は日本国債で安全運転で、2割(2兆円強)を運用しています。
契約者の方は、掛金の範囲内(最大90%)で事業資金の貸付制度をご利用いただけます。低金利(1.5%)で、即日貸付けも可能です。
☞ もともと自分のお金である掛金の90%を金利1.5%で借りるなんて、何のメリットも無いようにみえますが、「即日」貸付というのが肝です。何かの事故のときに急な資金不足があったときの緊急対応としては意外に貴重です。
まぁ、個人事業を起業したり、小規模企業を立ち上げたなら、無理のない範囲で小規模企業共済に加入しておくことに損はないと思います。お奨めしております。どうぞご検討ください。