コロナが招いた過剰債務。過剰債務の目安を知ろう

企業の過剰債務が問題になっていますが、過剰債務の目安です。

 

金融機関からの借入金や社債発行による負債がその企業の返済能力に比べて大き過ぎる状態のことを過剰債務と言います。いわゆるコロナ融資として、リスクが無い金融機関が貸し付けたことから、過剰債務となっている企業が多くなっています。今後、返済が本格化するなか不安が大きくなっている企業も増えています。

 

2022.4 東京商工リサーチ
2022.4 東京商工リサーチ

過剰債務の基準ですが、一般に以下のようになります。

 

先ず、借入金は短期と長期に分けられます。短期借入金は運転資金に充当し、長期借入金を設備資金に充当するのが正常です。

 

「必要な運転資金=売掛債務(売掛金及び受取手形)+棚卸資産-仕入債務(買掛金及び支払手形)」という計算が成り立ち、短期借入金がこれを超えていると過剰債務と言えます。

 

次に、長期借入金の返済能力を検討します。

返済の原資は経常利益と減価償却費になります。経常利益を全て返済に回すと納税費用がなくなりますし、現実的には事業継続が困難になるので、通常返済に充てられるのは最大1/2です。次に長期とは何年なのか?ということですが、10年とかでは長過ぎて経営の見通しが立ちません。中小企業の場合は、長くても5年です。

 

「長期借入金の返済能力=(経常利益の 1/2 + 減価償却費)× 5年分」という計算が成り立ち、長期借入金がこれを超えていると過剰債務と言えます。

 

但し、中小企業の場合は長期での資金調達が難しいことと、短期借入のほうが低金利なこともあって、本来は長期で借り入れるべき資金を短期で調達することがよくあります。したがって、借入金総額で比較する必要もあります。

 

このような計算をしてみて、過剰債務となれば、経営改善を急がなければなりません。