イソップ童話「アリとキリギリス」は世界中の人が知っています。
夏の日差しが照りつけるなか、アリたちは食べ物をせっせと家へ運んでいます。毎日、朝から夜まで働きづめでした。・・雪の降る寒い日に、痩せて元気のないキリギリスがアリの家にやってきます。アリの家は暖かで食べ物もたくさんあります。・・キリギリスは「夏の間はずっと歌っていたものだから」と話します。
このお話には結末がいくつかあります。
イソップのつくったお話では、アリはキリギリスに「夏の間は歌っていたのだから、冬の間は踊っていなさい」と言って、追い返します。キリギリスは雪の中で死んでいきます。
違うバージョンでは、冬になってキリギリスが食べ物を求めてアリの家を訪ねると、アリたちは穀物を乾かしたり脱穀したりして、みんなで働いています。それを見て、何も話しかけられないキリギリスはすごすごと帰っていきます。
また違うバージョンでは、アリがキリギリスに「冬になっても歌っていればいい」と言うと、弱り切っているキリギリスは「もう歌はすべて歌いきったから、アリさん僕の亡骸を食べて、元気に春を迎えておくれ」と言います。
これらは西洋のストーリーです。日本版では、アリが気の毒に思って食べ物を分け与えると、キリギリスは「ありがとう、これからは、まじめに働くよ」と言って帰っていきました。となります。
さらには、冬になって訪ねてきたキリギリスに、アリたちが「君は、夏に歌っていたから、冬には踊っているのかと思っていたよ。さあ、遠慮なく食べなさい。また、来年の夏もすてきな歌を聞かせてもらいたいものだね」と親切に言いました。
あなたは、どのバージョンが気に入りますか?
中小企業の多くが、足下の物価高騰・原油高で苦しんでおり、政府批判を強めて、支援策の拡充を求めています。しかし、これまで物価安・資源安の時期が長かったことを忘れてはいけないですよね。イソップのどのバージョンにも、威張ったキリギリスは出てこないことは気に留めておきたいところです。
ところで、今年は更に別バーションも考えられます。冬を迎えようとするときに、武器を抱えたキリギリスがアリたちの家を襲います。居心地の良い家とたくさんの食料を奪ったキリギリスは暖かな冬を過ごしました。めでたしめでたし? は、気に入りませんよね。