日本ハムの新しい本拠地球場で、本塁とバックストップの距離が問題になっています。
公認野球規則で「本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレイの妨げになる施設までの距離は、60ft(18.3m)以上を必要とする」とあるのに対して、新球場は50ftしかないということです。
日本の公認野球規則は、基本的にアメリカにおけるプロ野球(つまり、メジャーリーグ)のルールである "Official Baseball Rules" を翻訳したものだそうです。
但し、日本の公認野球規則は、日本独自の注釈やアメリカには無い軟式野球に関する付記などをつけ加えています。
また、日本の公認野球規則はプロ野球だけでなく、社会人・大学・高校のアマ野球との統一規則です。(プロ・アマ統一は1956年)
したがって、プロ野球の試合を開催しない球場であっても、アマの公式試合をおこなう球場はこの規則に準じて(本塁からバックストップまで60ft)つくられています。
"Official Baseball Rules"ではバックストップまでの距離を「60ft以上を推奨する」としており、メジャーリーグの球場の多くが60ft未満だから、細かいことを言うなというのは、プロ・アマ統一規則としている日本とは事情が違う感じがします。
なお、「塁線」という聞きなれない単語が出ていますが、本塁から1塁あるいは3塁までの線のことです。この間はファールゾーンが60ft必要です。1塁・3塁より後方には規則が無いので、外野のほうではファールゾーンが少なくても構わないのです。
もう一つ、両翼と中堅までの距離についても誤解のある記事があります。公認野球規則では「本塁よりフェアグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレイの妨げになる施設までの距離は250ft(76.2m)以上を必要とするが、両翼は320ft(97.5m)以上、中堅は400ft(121.9m)以上あることが優先して望まれる」とあります。こちらは、優先して望まれるわけですが、必要なのは250ftです。
ちなみに巨人の本拠地だった後楽園球場は1958年に改修されるまでは両翼78mでした。南海の本拠地だった大阪スタジアムは1972年までは両翼84mでした。
1958年以降にプロ野球球団が球場を建設する場合は、両翼320ft、中堅400ftは必要事項になります。横浜スタジアム(1978年竣工)などはこの距離を満足していませんが、この球場は国有地に横浜市が建設した球場です。また、阪神甲子園球場はこの規則より以前の1928年に開場しています。
プロ野球が使用する球場の多くは、アマ野球でも使用されます。マツダスタジアムも高校野球広島大会などで使われますし、先日の日本シリーズでは引き分け試合があると、大阪ドームで社会人野球大会がおこなわれるので試合できないということもありました。
結局のところ、日ハムの新球場がプロ野球以外は使用しないということなら、エンターテイメントとしてガタガタ言わなくてもよくて、そうじゃないなら規則は守った方がいいように思います。
【大阪スタジアムの改修前後】
1950年(昭和25年)に完成したときは両翼84mでした。スタンドは左右対称です。1972年に両翼91.4mに伸ばした結果、スタンドがいびつになり、且つ傾斜も急になりました。