注目されたアメリカの中間選挙ですが、マスコミで事前に予測されていた「共和党の地滑り的勝利」はありませんでした。
バイデン大統領の支持率が低迷していることと、トランプ前大統領の目立ったパフォーマンスからこういう予測があり、民主主義の危機だと恐れられていました。まだ、選挙結果の全ては明らかになっていませんが、下院は共和党が奪還したものの小差で、上院はほぼ均衡となりそうです。
アメリカの下院は、任期2年で解散はなく全議席435が対象の総選挙です。
前回は大統領選と同時に2020年におこなわれて民主党222vs共和党211という結果でした。定員に2足りないのは、結果が翌年まで決まらなかったのが1、当選者が会期開始前に亡くなったのが1あったからです。
今回の選挙では民主党214vs共和党221という予測になっています。共和党が過半数を奪還しましたが、その差は僅かです。
上院は定員100で任期6年なので、2年に1度1/3ずつが選挙の対象です。今回の選挙前には共和党と民主党が50vs50で均衡していました。今回も接戦で、現在は共和党49vs民主党48です。アリゾナとネバダの2州が接戦で1vs1になりそうとのこと。ジョージア州が決選投票に持ち込まれたので、全体の結果が確定するのは当分先になります。
つまりは「赤い波」は起きなかったか、あってもさざ波だったわけです。
ところで、前回の中間選挙でもトランプ大統領の国政運営への批判が高まっていて「青い波」が起こるとマスコミは言っていました。しかし、結果はやはり小さな波で終わったと総括されました。
中間選挙後に、下院は共和党200vs民主党235、上院は共和党53vs民主党47でした。この選挙で、民主党は下院を取り返しましたが、上院は過半数を取れませんでした。
結局のところ、アメリカ国民の総意となれば、あまり極端化することはなく、共和・民主のバランスを維持するということなんだろうと思います。
民主的な選挙は手間も金もかかり、政策に強力なリーダーシップを発揮することを困難にします。しかし、独裁的なカリスマに国を乗っ取られるようなことが起こりにくいことも確かです。これがアメリカの粘り強さの基盤であり、民主主義システムの優れていることと言えるのかも知れません。