ソウル市の有名な盛り場・梨泰院でとんでもない雑踏事故が起きました。
事故は10月29日で、土曜日とはいえハロウィーン本番(10月31日)の2日前でした。梨泰院という場所はドラマなどで有名ということですが、特別な施設や広場があるわけでもないようです。報道によると、とても狭いエリアに数万人もの人が集まっていたが、警察などによる組織だった警備はおこなわれていなかったようです。
日本では2001年に、明石市の花火大会の際に歩道橋で群衆なだれが発生して、11名が死亡し183名が負傷するという大事故が起こっています。
日本における最悪の群衆事故は、新潟県弥彦村の弥彦神社で1956年元日0時頃に発生したもので、死者124名・負傷者80名を出しました。
主催者があるイベントであれば、安全確保の責任は主催者が負うのが当然です。明石歩道橋事故であれば。主催者の明石市と、明石市から警備を依頼された明石警察署と民間警備会社の3者が責任を問われました。明石市の職員3名は禁固2年半(執行猶予付き)、明石警察署と警備会社の責任者は執行猶予無しの禁固刑でした。
今回のソウルの事故では、明らかな主催者というものが無いようです。
公道での事故なので、民間からの指示は難しい(明石歩道橋事故では警備会社の主な責任は警察に積極的に働きかけなかったというもの)ので、公設警察が動くしかないでしょう。
しかし、警察や軍隊などの実働部隊は指揮者からの命令が無ければ、勝手には動けない(明石歩道橋の場合も機動隊員72人が配置されていたが明石警察署の指揮者からの命令がなかったので動けなかった)のです。
なかなか難しい問題ですが、事故の危険性を予見できる場合には、警察に対応を依頼できる管轄自治体(ソウル市と龍山区)に事故防止の責任があるということでしょう。
それにしても、自然発生的に多くの人が集まるイベントは危険なものです。成熟した社会では企画されないイベントや騒動はとても少なくなっています。明確な安全体制を組んで事前の対策を計画するのは難しいかも知れません。今回の場合は自治体ですが、組織は危険に遭遇して臨機応変に対応する能力を高めることが必要です。