エネルギー価格が高騰していますから、燃料を販売している会社は大変です。
山口県の過疎地域では、域内(例えば市町内)に燃料店が1軒か2軒しかないということはよくあります。その地域では、燃料を買うのに他の選択肢がありません。多少価格が高くても、サービスが悪くても、その店から買います。燃料の場合は、どこで買っても品質に差があるわけではないので、我慢して買います。
中規模以上の市町で、地域に何店か燃料店があって競争がある場合は、どうしたらよいでしょうか? 王道としては、顧客を増やして、取扱い商品を増やして、売上高を上げていくことになります。
しかし、地方に限らず日本では燃料消費は年々減少(ピークより25%以上減っている)しています。これは、景気の良し悪しだけではなく、省エネルギー化が進んでいることも大きな要因です。
そのなかで、同業者と差別化して顧客を獲得するのは、なかなか大変です。何しろ、商品である燃料(灯油も軽油もガソリンもLPガスも・・)は、規格があって商品そのもので差別化することができません。
価格で競合をくぐると、元々が薄利な商売なので利益が出ません。配達の頻度とかで差別化するのも、顧客の需要が伸びていなければ困難です。何とか、顧客が求めるニーズで、自社は対応できるが、他者には対応できないもの(これが差別化)を見つけないといけません。
顧客が求めるニーズに具体的なものがない(あるいは価格しかない)場合には、どうしてよいのかわかりません。どうしても商品やサービスで差別化できなければ、営業職員の人柄とか個人的な魅力や、顧客のキーマンへの接待などで差別化しようと頑張ります。
ところが、これは営業の属人化につながり、経営的にはとても拙いことです。一時はうまくいくことがあっても、事業の持続的な発展につながりません。
そこで大事なのは、自社の総合力の発揮です。最初は営業担当者の頑張りで掴んだ顧客であっても、その顧客を長く引き留めるのは会社全体の力です。調達であったり、物流であったり、ときには事務の融通や、電話応対かも知れません。社内、社外の関係者とのコミュニケーションがスムーズで、ビジョンや方向性が一致していることが大事です。
思い出話です。低気圧が停滞して海上風警報が3日くらい続いたことがあります。危険物の荷役は警報発令時にはおこなわないのが基本ルールです。しかし、これ以上続くと工場が止まります。瀬戸内海なので海や波の状態はそれほど危険な状態ではありませんし、一般品の荷役はしている(暴風警報ではないので)ですから、資材担当者がルールにはこだわらず納入して欲しいと頼みました。工場の人員もバースに集めて、事故が無いように万全を期して入荷してもらいました。風は吹いていましたが、青空でした。