エリザベス女王の逝去によって、今後の英国王室の存続が話題になっています。
詳しくはわからないのですが、英国では王室廃止論というのが以前からあるようです。日本の場合は、皇室(天皇)について憲法で規定されています。本来なら皇室(王室)廃止を言いだしそうな左翼勢力が護憲を主張しているので、政治的な廃止論はでてきようがありません。日本国民のほうも、皇室に強く関心をもって廃止したいという考えの人は少ないでしょう。
英国の場合は王室が成文憲法で規定されているわけではないので、憲法問題はありません。
王室の存続も廃止も、英国民の考えによるのだと思います。しかし、エリザベス女王の時代には廃止論への関心は薄かったように思います。国王チャールズ3世の即位によって、英国民がこの問題に強く関心を持つようになるかが注目されます。
ポイントは、英国王室が女王エリザベス2世の個人的な人気に支えられていた部分がどれほどあったのかということです。エリザベス女王の生涯については、新聞テレビで膨大な情報が公開されています。女王になって以来、高い人気を継続して得ていたことは明らかです。
エリザベスの父ジョージ6世も、映画『英国王のスピーチ』で有名なように、病弱で吃音でしたが真面目な性格で国民的な人気を得ていました。
この父娘が、エドワード8世が,離婚経験のあるアメリカ人女性と結婚するために王位を放棄するという前代未聞の危機から、英国王室を85年に渡って支えたわけです。
新国王チャールズ3世は慈善家として英国だけでなく世界には大きな貢献をしています。しかし、ダイアナ元妃の悲劇的な死、カミラ王妃との結婚前の関係などが影響して、十分な人気を得ていません。
ウイリアム皇太子も、ダイアナ元妃の子というだけでは共感を維持できるわけではないでしょう。いろいろとお騒がせの弟夫婦の存在もあります。
日本の皇室は私有財産をほとんど持たず(最大でも数億円といわれる)国の予算でのみ維持されるので慎ましい生活です。一方で、英国王室は膨大な領地を所有しており、私有財産が膨大(1兆円をゆうに超える)ですから、多額の収入があります。
このため、英国を代表して権威を高め英連邦をまとめるのに、国の支出は少なくて済みます。しかし、王室に限らずこういう貴族階級の優雅な生活や存在を苦々しく思う人も、やはりいるわけです。
これまでの世界では、王政や帝政は廃止される流れが続いていました。必ずしも、共和制への移行が成功することばかりでもないようです。王や皇帝に代わる存在がきちんとあったのかは疑問です。
英国の世論が方向性を決めるには、これから数十年はかかるでしょう。英連邦に各国にも動きがあるかも知れません。よそごとながらも注目です。
日本の皇室について思うことはありますが、書くのはやめておきます。