台風の定義は風速が秒速で17メートル以上の熱帯低気圧のことです(大雑把に)。
ごく普通に考えて、台風の気圧が低いほど風速は大きくなります。台風の気圧が高い低いというのは、平たいお皿と深いどんぶりの違いのようなものです。お皿のふちから水を流すのより、どんぶりのふちから流すほうが、水の勢いが強くなります。この場合は、皿やどんぶりの摩擦の要素が大きいです。今回の台風14号は上陸時気圧935hPaで2000年以降ではもっとも低く気象庁の観測史上でも4番目でした。
気圧が低い=風が強いということで、大分県佐伯市で最大瞬間風速50.4mを観測しました。
この50.4mは秒速ですから、60秒×60分=3600を掛けると、時速181㎞となります。新幹線より少し遅いですが、スポーツカーの屋根にでも乗らないと(乗れないけど)なかなか体感することのできない速度です。
今回、宇部では観測史上最大の瞬間風速34mを観測したということです。時速122㎞になりますが、あまり実感がありません。実は、宇部の最大風速は12.3mでした。
風速は風速計で常時測定されているのですが、デジタルに1秒間に4個のデータが記録されます。「最大瞬間風速」は12個、つまり3秒間の計測データの平均値をとって、その最大の値となります。「最大風速」は同じ風速計で2400個、つまり10分間の計測データの平均をとったときの最大の値です。
通常、最大風速と最大瞬間風速の比は1.8倍前後ですが、今回の宇部市の場合は2.8倍もありました。何かの事情で瞬間的な突風が吹いたようです。瞬間最大風速は数字が大きいので報道では大きく取り上げられますが、実際の被害との相関は微妙な感じがします。
台風の移動速度は時速で表されます。14号台風は鹿児島市への上陸時点では北に20㎞/hとなっています。時速20㎞は秒速では5mになります。
台風の進行方向右側では、台風の移動速度+アルファの風速(この場合なら5m以上)が加算されるので、より風が強くなります。台風の移動速度が速くなれば、気圧があまり低くなくても暴風や高波による被害が大きくなることもあります。要注意です。