まど・みちおの不思議な世界~秘密がいっぱい

まどみちおは、1909年(明治42年)生まれで、2014年(平成26年)に104歳で亡くなりました。童謡「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「ふじぎなポケット」などで有名です。

 

まどみちおは、本名は石田道雄、周南市(生まれたときは都濃郡徳山町、現在のJR徳山駅の近く)の出身です。詩人として有名ですが、絵画もたくさん描いています。ほとんどが、周南市美術博物館に寄贈されており、まど・みちおコーナーで見ることができます。水彩画やクレヨン画で、まどのつくった童謡のイメージとはかなり異なります。

 

まどみちお
まどみちお

2015年にNHK日曜美術館でまどみちおの絵画が紹介されています。<引用>

 

 

「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」など日本中で愛される童謡の生みの親であるまど・みちおは、2014年に104歳で亡くなるまで、世界を子供のような目で眺めその発見を瑞々しい言葉で詩にしてきました。

 

そんなまど・みちおには、もう一つ創作にうちこんだものがありました。絵です。特50代の頃に盛んに描きました。3年半で100点以上。そのどれもが何を描いたのかハッキリしない不思議な作品ばかりです。

 

まど・みちおは絵を押し入れにしまいこみ、それは長い間秘密のままになっていました。

まど・みちおの不思議な絵が世に知られるようになったのは20年程前。児童文学を研究する谷悦子さんが見つけたのがきっかけでした。まど・みちおの聞き書きを重ねていた谷悦子さんは、長く眠る絵があることを知ったのです。

 

まど・みちおが絵に熱中したのは童謡「ぞうさん」で人気を博した10年後、50代をむかえた頃でした。一体なぜ絵に没頭したのでしょうか? 


さて、まどみちおの最も有名な詩が「ぞうさん」です。この歌は、悪口のうたって知っていましたか?また、童謡になるときに勝手に改ざんされていたそうです。

まどみちおのオリジナルは以下です。

 

ぞうさん ぞうさん

おはなが ながいね

そうよ かあさんも ながいのよ

 

ぞうさん ぞうさん

だれが すきなの

あのね かあさんが すきなのよ

 

ポイントは、「おはなが ながいね」です。「おはなが ながいのね」は、NHKみんなのうたのために團伊玖磨が作曲した格調高いメロディーに合わせるためか、”の”を1字つけ加えられています。勝手に”の”をつけ加えたのは、NHKに「ぞうさん」を紹介した詩人の佐藤義美です。佐藤は「犬のおまわりさん」などで有名です。

 

この”の”で歌詞の印象がガラッと変わったわけです。まどの考えていたことは、元の詩によく表れています。象の子は、鼻が長いことを他の動物にからかわれ、悪口を言われているのです。それに対して、象の子は大好きな母さんも同じなんだと返しています。

 

台湾で土木技師として働いていたときに応召され、東南アジア各地を転戦し、シンガポールで終戦を迎えたまどみちおです。世界大戦のなかで感じた民族の誇りといったものが、ぞうさんに表現されているのかも知れませんね。

 

まど・みちおの世界に触れてください。おいでませ 山口へ!

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