宇部市で偉人の像と言えば渡辺祐策翁像、山陽小野田市では笠井順八翁像です。
二つの像はとても対照的です。渡辺翁は高い台の上に立っているので見上げます。笠井翁は台座に腰を掛けているので横に座れます。洋装と和装の違いもあります。渡辺翁は宇部の町の中心にある渡辺翁記念館の前庭にあってよく目にします。笠井翁は若山公園のなかにあって、わざわざ行かないと会えません。
渡辺祐策は宇部興産、笠井順八は小野田セメント(いまの太平洋セメント)の創業者として有名です。活躍した時代は少し違っています。
渡辺翁は元治元年(1864年)の生まれ、笠井翁は天保6年(1835年)の生まれなので30年近くも離れています。渡辺翁が宇部興産の源流となる沖の山炭鉱組合を創業したのは明治30年(1897年)で、笠井翁がその名も「セメント製造会社」を設立するのは遡って明治14年(1881年)でした。
渡辺翁の像は昭和11年(1936年)に、「東洋のロダン」と呼ばれた彫刻家朝倉文夫によってつくられたブロンズ像です。笠井翁の像は昭和30年(1955年)に彫刻家中川為延によってつくられています。こちらは、もちろんセメント造です。
それぞれに、生前の姿を忠実に模しているそうです。
渡辺翁と笠井翁に会いに、おいでませ、山口へ!